若おかみは小学生!(2018)花の湯はヴェノムもプレデターも受け入れる
悲しい別れと楽しい出会い
両親を交通事故で亡くし、唯一生き残った主人公の少女、おっこ。
旅館を営む祖母に引き取られたおっこは、女将と幼なじみだった幽霊と出会う。
幽霊たっての希望で、おっこは若おかみとして奮闘することに。
愉快な客たちや、ライバルとの衝突を経て、おっこは成長していく。
大人も子どもも楽しめる
●本作のポイント
公開当時、オレは実際に映画館で見た。
やはり、客席は子どもばかりだった。
本編上映前の予告編も空気を読んだのか、『プリキュア』、『妖怪ウォッチ』、『3Dアニメ版グリンチ』など、子ども向け映画の予告が多かった。
大人向けの予告編は、キムタク主演・東野圭吾原作の『マスカレード・ホテル』と『アニメ版ゴジラ』くらい。
八月に見た『カメラを止めるな!』とかだと、『スマホを落としただけなのに』など、大人向けの映画予告編が多かったけど。
オレ以外にも、評論家っぽいオッサンもおったけど。
先頭に座ってた評論家風のオッサンが一人、上映終わっても立ち上がってへんかったもん。
野菜ジュースの紙パックを握りしめながら、顔をクシャクシャにしてた。
彼も、何か痺れるモノがあったのだろう。
終わった後、昼飯食おうとデパートのフードコートに行った。
そしたら、子どもの多いこと多いこと。
諦めて違う店に行ったよ。
それだけ、子どもたちが見に来ていた、と言える。
原作より踏み込んだ展開
令丈ヒロ子先生の授業
ちなみに、オレは小説講座に通っていて、原作者の令丈ヒロ子先生の授業を受けたことがある。
結構前なので、内容は忘れたが、萌え関連の質問でも丁寧に回答してくださった。
その縁もあって、オレは原作小説の一巻は読んでいた。
アニメも一話は見ていた。
マンガは読んでない。ちなみにマンガのウリ坊はイケメンだとか。
二時間で原作二〇巻をどうやって表現するのよ、と思っていたが、何の心配もなく話は進んでいった。
劇場アニメ版独自の展開なのかー。
脚本:吉田玲子
「話の展開の仕方がなんか『マリみて』っぽいなー」
と思っていたら、脚本が吉田玲子氏だった。
子ども向けに作られた目線なので、マイルドな仕上がりになるのかなと、最初は思っていた。
が、序盤から原作にない、「両親の死」をまざまざと見せつける。
そこから、主人公おっこの活躍を丁寧に描いていく。
終盤の容赦ないシビアな展開と、それを乗り越える主人公の姿は、胸に来るモノがあった。
結論
子ども向けの作品でも、シナリオの密度は大切。
宇宙人すら受け入れる花の湯
●余談
作中には、
「花の湯温泉のお湯は神様から貰ったお湯。だから、誰も拒まない」
という言葉が頻繁に出てくる。
そうか、だから、公式Twitterが『プレデター』や『ヴェノム』をフォローしているのか……。