世界最古のほしいものリスト 『チャーリング・クロス街84番地』(1986)
|ロンドンの古書店に来た老婆
老婆が、飛行機内で隣の男に話しかけられる。
「ロンドンへ行く目的は?」
「行くところがあるの」
彼女が向かったのは、取り壊し予定の古書店だった。
|「ほしいものリスト」送ります
NYに住む本好きの作家が、古本ほしさにロンドンの古書店へタイプ文章を送る。
彼女は以前、地元の古本屋に行った。
相場の高さに辟易したばかり。
「なによ、NY人は本を読まないのかしら!」
欲しいものリストを作り、ロンドンへ書簡を送信。
「キレイな本をちょうだいね」と。
|ネットのない時代の商売
本が届くと、作家はすぐに返事を送った。
「このような素晴らしい本がミカン箱に入ってるなんてもったいないわ!」
「請求書はドル計算でちょうだい! ポンドの計算するために、いちいち二階のカップルに相談しなきゃなので!」
「なにあの聖書の翻訳! インチキ・プロテスタントは火あぶりにすべきだわ!」
「本物の『ピープスの日記』を送って! この偽物の日記は何かの包み紙にしてやるわ!」
「女王陛下の戴冠式に出席したかったけど、歯に戴冠をしなければいけなくなったわ!」
作家ならではというべきか、お返しの文章も凝っている。
ロンドンの書店員も、コーヒー代として受け取ったおつりは貸方勘定に記入。
次の請求に使うように手配している。
|本作のポイント:ほとんどのセリフが文章
この映画の特徴は、ほとんどのセリフが「手紙のやりとり」であること。
本作はタイプライターが現役の時代。
また、当時のイギリスは1941から20年間、食糧が配給制だった。
それを聞いた作家は、古書店に缶詰セットを送る。
秘書は作家を「若い」と思っているらしい。
秘書からの手紙を読んで、作家は爆笑する。
作家は脚本が200ドルで売れた。
古書店は作家が送ってくる配給に感謝する。
お礼にと、彼女が欲しがっていたエリザベス朝時代の恋愛小説を送る。
|創作ポイント:発信する
本作の創作ポイントは、主人公や古書店員の発信力だ。
手紙を受け取った老紳士の活き活きした姿は、妻が嫉妬するほどだった。
プロ無職「るってぃ」さんは、
「これからは、発信する人が世界を面白くする」
と言った。
この姿勢は、既にアメリカで1950年代から変わらないのだ。
ブログやTwitterのない時代でも、発信は可能だったのである。
|まとめ
発信力の高さがよき出会いを生む。
それは、いつの時代だって一緒だ。
ツールにこだわる必要はない。
あなたの持っているスキルや資料、ネタの数々は、誰かが求めている。
発信を恐れてはいけない。
●余談
アンソニー・ホプキンスは、こういういい紳士役もやっていたなぁと。
『ハイネケン 誘拐の代償』 も、怖い映画だったし。
それはそうと、主人公が詩人であり画家の「ウィリアム・ブレイク」の詩集に触れるシーンがある。
実は、オレはこの映画を、
『レッドドラゴン』
を見たあとに視聴した。
偶然にしてはできすぎだろう。