憎めない悪党と、憎らしい善玉 『ヒート』(1995)
|二人の名優の共演
麻薬カルテルの証券を手に入れた強盗団。
リーダーはロバート・デニーロが演じている。
しかしヘマをして警官を殺してしまう。
仕事熱心なデニーロは、自分の稼業がいかに危険か、身をもって知っている。
なので、家庭を作らない。
しかし、カフェで知り合った女性と関係を結んでしまう。
警官アル・パチーノはわずかな手がかりから強盗団の一人を割り出し、ボスまで辿り着く。彼らの手口も、現場を見ただけで当ててしまった。
ワーカーホリックの警官は、二度離婚をしている。
そんな彼だからこそ、強盗団のメンバーを割り出せたと言える。
彼らが次に狙う場所をつきとめた。
しかし、警察の一人がミスを犯し、犯行を取り押さえることができなかった。
彼らは情報ルートから、港へと到着する。
しかし、高台が、主人公の周りに多く立ち並ぶだけ。
主人公は、自分たちが盗賊団からマークされてしまったと推理する。
|実は同じシーンにいない二人
カフェで語り合う二人。初めての直接対決だ。
本作は実在した警官と犯罪者をモデルにしているという。
このエピソードも、実際にあったそうだ。
共に仕事に対する拘りが強い。頭も切れる。だが、闇の住人と警察。
自分たちはコインの表と裏。
追う者と追われる者だ。立場が決定的に違うことを思い知る。
実は、本作は直接二人一緒に映っているシーンが描かれていない。
なのに、二人は静かに語らいつつも、火花を散らしているように見える。
|白昼での銃撃戦
銀行強盗大成功!
しかし、サツが張り込んでいた!
意気揚々とヴァル・キルマーが車に乗ろうとする。そこで警察を発見。市民がいるにもかかわらず発砲した。
白昼堂々、LAを舞台に銃撃戦が始まってしまう。
この映画屈指の名シーンだ。
交差点を挟み、警察と強盗団がアサルトライフルで攻撃し合う。
子どもを人質に取った犯人を、アル・パチーノが的確に撃ち殺す。
|創作ポイント:キャラの人生観
犯罪者のボスは、危険すぎる仕事に取り憑かれ、家庭を望んでいなかった。
そんな彼にも、ごく普通の幸せを望む感覚はあった。
だが、最後の仕事に行かなければならない。
一方、警察官の方も、仕事のために家庭を大事にしてこなかった。
家族の危機に直面して自身の行動を省みる。
だが、逮捕すべき相手がいる。
互いの人生観が交差し、二人は最後の直接対決の場へ。
|まとめ
悪党は人間味のあるように。
善玉は少し正義感からずれた方向へ。
そうすると、程よい不安定なキャラを作り出せる。
●余談
「二人は共演していない」
と一時期噂になったそうだが、ちゃんと二人は語り合っているとメイキングで明かされているそうな。