オレは泣かねえぞ(号泣) 『ザ・エージェント』(1996)
|エリートの再出発
エリートのスポーツ・エージェントと言えど、トラブルは起きる。
受け持っていたホッケーの選手が4度目の脳しんとうを起こした。
だが、選手は次の試合に出ないとギャラがカットされてしまうと抗議。
主人公は選手の息子に、次の試合にも出られると励ます。
父の身を心配する息子から、「死ね」と罵られる
主人公は、自分の仕事のあり方に疑問を抱くようになる。
汚い仕事から離れるには?
主人公は、25Pにも及ぶ提案書を書く。
子持ちの経理部女性からは賞賛を受けた。
しかし、仲間からクビを言い渡される。
|開始半時間で全てを失った主人公
だが、彼には最後の切り札があった。
スター選手とエージェント契約するという弾があった。
しかし、彼にも逃げられてしまう。
恋人にもこっぴどく捨てられる。
残ったのは、ちょっとワガママな黒人アメフト選手のみ。
|ビジネス書でも紹介された映画
この映画は、ダニエル・ピンクの著書でも紹介された。
『フリーエージェント社会の到来―「雇われない生き方」は何を変えるか』
という本だ。
フリーエージェントはアメリカでは当然のように受け入れられていること。
とはいえ、仕事とプライベートとの区別が付かないなどの問題点を孕んでいるとも書かれている。
本作も、この問題に直面するシーンがある。
経理の女性はシングルマザーで、主人公に行為を抱いていても、行動に移せない。
一線を越え、嫁になったものの、まだ自分が足かせになるのでは、と恐れている。
主人公を思うまま自由にさせるには、足を引っ張ってしまうかも知れないと。
今でこそ、日本はフリーランスが目立ち始めた。
アメリカでは、2000年代には既にエージェントが職業として成立していたという。
|創作ポイント:本当に大切なもの
物語が半分まで進んでも、黒人選手は本当に大切なものが何か気づかない。
口を開けば金のことばかり。それもこれも家族が増えるからだ。家系を支えることに必死なだけ。
成功者を取材するインタビュー番組を見ても、
「オレは泣かねえ自身がある」
と、出演者を罵る。
が、そのことで主人公と衝突してしまう。
本音と議論を重ね、最適な解決法を模索する。
ラスト、彼は「オレは泣かねえぞ」と言っていたインタビュー番組に出演し、ワンワン泣く。
どのように成功するかは、本編で。
だが、そのせいで主人公は、嫁ともすれ違いが生じてしまった。
「世界中を飛び回り、成功のために一生懸命な彼にとって、自分は邪魔なのではないか」 と、嫁は自身を責める。
しかし、その疑念こそ間違った回答への道だと、見ている側は分かる。
提案書には「金じゃねーんだよ!」と書かれている。
もう既に、答えは主人公が導き出している。
主人公の提案が本当になのは、主人公たち自身だったのだ。
|まとめ
本音を言い合える関係を築く。
●余談
本作の主人公はトム・クルーズが演じる。
相手役は、レニー・ゼルウィガーだ。
『ブリジット・ジョーンズの日記』で主役をする前に、本作でブレイクしたという。