ナッティ・プロフェッサー クランプ教授の場合(1996) ヘタレデブハムスターの逆襲
|逃げたハムスターのせいで寄付金が途絶える
学長から呼び出しを喰らう主人公のクランプ教授。
クランプ教授が逃がしたハムスターを飲み込んだせいで大学の寄付金を止められてしまう。
寄付をくれる候補者は、あと一人しかいない。
どうにかしろ、と学長。
|全員エディ・マーフィ
本作『クランプ教授』は、エディマーフィが何役も演じていることでも話題になった。
教授の両親も祖母も兄貴も、全部エディ・マーフィが演じている。
まさに「全部オレ」状態。
教授は肥満問題を科学で解決しようと研究をしているが、家族は太っていることは誇っていいと話を聞こうともしない。
母親に励まされ、教授は同僚のカーラを食事に誘う。約束の日にまで痩せようと決意した。
エクササイズ、ボクササイズ、針治療まで試す。
やせはしなかったが、約束の店で食事する二人。
しかし、ショーに出てきたコメディアンから、身体的特徴をバカにされる。
ヘコんだ教授は、モルモットに使っていた「やせ薬」を、自分に投与する。
|二人の男の間で揺れる女心
やせた教授は「バディ」という男性に変装し、カーラに接近。
自分をバカにしたコメディアンに仕返しをして、満足げに。
だが、デート中にやせる魔法が解けてしまう。
たまたま現場にいた生徒に目撃され、事態を白状する。
生徒は、やせ薬の危険性を指摘。
あの薬には副作用があって、性格まで威圧的で凶暴な人間に変わってしまうのだ。
「ありのままの自分で、ちゃんと思いを伝えることが大切だ」
ともっともなアドバイスを受ける教授。
だが、教授は自信がない。
カーラの方も、バディの方が気になっている。
教授の心には気づいていない様子。
そんな二人の気持ちをよそに、バディの暴走は止まらない。
|創作ポイント:自分との戦い
欲求を止められない体質である、こらえ性がない性格であると、TVを見る場面で分かる。
彼はいわゆる「ストレス性カウチポテト気質」だ。
ストレスを受けると、ソファの上でTVを見ながらジャンクフードを食べる。ソファとTVとジャンクはセットなのだ。
TVで自分を奮い立たせ、たまにやる気を出す。
だが、結局は楽な方へと逃げてしまう。
すっかりそれが日課になってしまっている。
彼の姿は、研究所の檻に保管されている太ったハムスターそのものだ。
太っていることは意志が弱いことの表れだと、イヤというほど描写している映画だ。
このシーンだけでも、彼が非常に意志の弱い人間であると説明できる。
そんな教授なので、理想の男性像であるバディの呪縛から逃れられない。
ダメだと分かっていても、自信のなさから薬を投与してしまう。
彼は弱い自分を克服することができるだろうか。
|まとめ
人間としての弱さを極限まで描写することで、後のカタルシスに繋げる。
●余談
吹き替えが見事な作品だ。