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帝都物語(1988) 渋沢の野望

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渋沢栄一による帝都改造計画


 
 明治時代、渋沢栄一(勝 新太郎)は帝都改造計画を秘密裏に進めていた。
 土御門家の陰陽師、平井保昌(平 幹二朗)が「我々を加えろ」と願い出る。

 平将門公を蘇らせ、帝都破壊をもくろむ輩がいる。
 その男の名は、加藤保憲(嶋田 久作)。彼は腐りきった帝都を破壊によって浄化しようとしていた。

 霊的な改造がなければ、将門公を沈められない、と平井は渋沢に告げた。

 しかし、大蔵省官吏の辰宮洋一郎(石田 純一)の妹、由佳理が拐かされた。
 彼女は強大な霊力を宿しており、加藤に利用されてしまった。将門公の依り代にされる。
 平井の式神攻撃によって公の復活は阻止され、由佳理も無事に帰還した。

 平井は命がけで、帝都に危機が及ぶ時期を占う。
 切腹によって、戌の年であると分かった。
 しかし、加藤の手によって亥の年に変えられてしまった。

 それから数年後、再び加藤が動き出す。
 
 由佳理は雪子という娘を出産していた。だが、父親は……。
 

一万円札になる人が登場


 令和になり、渋沢栄一が新一万円札となる。
 それによって、この映画も話題になった。

 実は、オレは本作を、昔に見たことがある。
 
 しかし、内容をサッパリ覚えていなかった。
 小学生だったこともあり、歴史的な知識がまるでなかったからだ。
 
 女性がアリの幼虫みたいなのを吐き出すシーンが妙に印象に残っていて、
「うわー、グロいなー」
 と思っていた程度である。
 
  
 あと、石田純一さんや佐野史郎さんが若い。


関東大震災は加藤のせい

 加藤は帝都を壊滅させるため、龍脈を操作して関東に震災を巻き起こした。
 だが、将門は目覚めないどころか、起こそうとした加藤に電撃アタック。
「なぜ目覚めぬ!」
 崩れた帝都を忌々しげに見つめる。

 

ポイント:ダークヒーロー

 

 加藤は、ダークヒーローとしての地位を確立している。
 
 ストリートファイターⅡのベガ、『BASTARD!! -暗黒の破壊神-』のアビゲイルなど、様々なキャラクターのモデルとなった。
 それくらい、強烈なキャラクターなのである。

「帝都を潰す」という執念に燃え、天皇家直属の陰陽師さえ歯が立たない妖力を持って目的を遂行する。
 凄まじいパワーとブレない行動力が、加藤の魅力である。

 自分の肉親すら利用して帝都に被害を与えようとするなど、やることは結構ひどい。
 だが、いざというときに大失敗をする、地下鉄を通すトンネル開通工事の妨害は式神に任せきってスルー、ラストで盛大に誤解するなど、詰めの甘さなどが目立つ。
 そういった人間くささなどが、加藤という人物をより浮き彫りにさせる。

まとめ

 ダークヒーローに必要な要素は、「人間くささ」だったりする。


●余談

 嶋田久作さんの怪演もあり、印象に残るダークヒーローになった。
 原作の方が、嶋田さんの演技に合わせたと言うほど。