SCOOP!(2016) 福山雅治氏の熱演による、中年の退場劇
そしてマスゴミになる
福山雅治がゲスパパラッチに扮して特ダネを狙う話。いわゆる「マスゴミ」だ。
冒頭から、いきなり福山氏が女性と取材用の車でまぐわっているというシーンから始まる。
都城 静(福山雅治)は、かつて大スクープを取り上げる記者だったが、今では落ちぶれている。
借金返済の代わりに新人の行川野火(二階堂ふみ)を押しつけられ、嫌々ながらも自分の撮影方法を伝授する。
とにかくゲスい。
情報屋のチャラ源(リリー・フランキー)を使って、アイドルの熱愛を突き止める。
野火と二人、カップルのフリをして現場を取材。
彼女のヒザの上に穴の開いたカバンを載せて、盗撮!
写真は撮れたが、静は納得がいかない。
「お持ち帰りとかの現場じゃないと、金にならん」
と、静は愚痴る。
その時、アイドルが動いた。男と二人、席の隅の方へ移動を始めた。
スマホのカメラを使って撮ってこいと、静は野火に命令!
翌日、アイドルの熱愛を報じるニュースがTVで流れてきた。
野火は、ファンだったアイドルを自ら穢すことになった。
自分の名前が載った週刊誌を苦々しく見つめる。
「この仕事は最低だ」とこぼしていた野火も、慣れていくたび感覚が麻痺していく。
実写版バクマンの、大根仁監督作品。
『盗写1/250秒』という、斉藤慶子主演の古い映画が原作になっているとか。
(TVの二時間ドラマを上映したらしい)
ポイント:クズの中でくすぶった内なる火
部数も伸びていく中、「連続殺人犯の現場検証で、犯人の顔を写せ」と指示される。
だが、週刊誌はグラビアやスキャンダルが売りだという幹部も。
「ジャーナリズムなんて時代後れ」というのが、彼の主張だ。
野火は、被害者が自分と歳が近い女性であることに、憤りを覚える。
静は、野火の熱意をスルー。
やけになった野火は、ヤバい取り巻きを率いる俳優の件に首を突っ込んだ。
野火を結局助け、殺人犯のスクープに同行する。
辛く重いラストシーンの後、エンディングのワゴンに張り込んでるコミカルなシーンを流すのが、またうまい。
福山氏とリリーフランキー氏、この二人の対比は実に楽しい。
リリー氏は映画のラストで、とても重要な役割を果たす。
絶対「そして父になる」を見てから見て欲しい。
まとめ
評論家や映画好きの間では、
「バクマンが突き進む青春なら、scoopは中年が退場する話だ」
と感じている人が多いみたい。
そういう作風が得意な監督だからではないか、とのこと。
●余談
サイクロップス先輩が全身をまさぐられる映画……ではない。