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ストレイト・アウタ・コンプトン(2015) ハンバーガーを食ってるだけで逮捕 

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主張する黒人たち

 

 世界で最も危険な都市の一つ、ロサンゼルスのコンプトン地域から進出した伝説のヒップホップグループ「N.W.A」の秘話を描く。
 名称は「Niggaz Wit Attitudes(主張する黒人たち)」の略だ。

 

 映画のタイトルは、彼らのファーストアルバム名から。

 

 グループのボーカルなど、悪ふざけで一番下手くそなヤツを選んだといういい加減っぷり。歌い出せば爆笑がわき上がるほどヘタクソだった。それがいい、と採用決定。

 ユニークなキャラクター性と、過激な歌詞によって、グループは一躍注目されるように。

 ユダヤ人のマネージャーができて、儲かっていく。
 だが、メンバーは不満タラタラだ。
 
「ユダヤ人とボーカルが高級料理を食って、なんでオレたちがファストフードなんだ?」

 ボーカルと他メンバーとの対立は決定的となり、仲間が離ればなれになってしまう。


|インテリチンピラ離脱
 
 離脱したアイス・キューブ氏は、貧民街生まれとはいえ、理系大学まで出ている秀才だとか。

 アイス・キューブ氏とグループは、曲で互いをディスり合う。

 なんか、ケンカしつつも実は認め合っていたのかも知れないと言った場面だ。

 事態は、かつての仲間とメンバーを再結成しようではないかという話になるが……。


 金やコネのない奴らが疑似ファミリーを組んで、工夫して、最初こそ上手くいくんだけど、ボタンの掛け違いで対立し、崩壊していく様を描く話だ。

 

|ポイント:普通の主張さえ許さない時代
 
 このグループが歌う歌詞は危険きわまりなく、FBIにすらテロリスト扱いされていたらしい。

 だが、実際は危なくないグループとして、映画の中で語られる。

「ファック・ザ・ポリス」という歌も

 

「俺達は何も悪いことしていないよ。なのに警察は因縁つけてくるよ」

 

 と訴えている歌である。

 あるとき、彼らは道でハンバーガーを買い食いし、ダベっていた。

 たむろしているだけで、「ヤクの取引をしている」とみなされ、ボディチェックをされるという始末。

 

 そんな事情があってできた曲なのだ。

 

 だが、当時は「黒人が街を歩いているだけで、麻薬密売の気配がしてしまう」といった時代だった。
 今でこそ、そんな偏見は減ってきているが。

 

 彼らはそんな閉鎖的な思考が蔓延している中で、歌によって自分たちの正当性を主張し続けてきた。


 どんな迫害にも耐えながら。


|まとめ

 いつの時代も、偏見は人の判断を曇らせる。

 

●余談
 
 オレは、てーきゅうの原作者『ルーツ』一推しの映画ということで、この映画の存在を知った。


 ちなみに、これといい、邦画『日本で一番悪い奴ら』などは、ライムスター宇多丸氏の提唱する、

『ヤングファミリー興亡史もの』

 というジャンルに該当するとか。