マジカル・ガール（2014） 娘も奥様も悪女
｜娘を喜ばせたかっただけなのに
舞台はスペイン。
失業中の元教師には白血病の娘がいる。
彼女には願いがあった。
誰にでもなれること。
好きなアニメにでてくる魔法少女になること。
一年でも長く生きること……。
父親は魔法少女の衣装を手に入れようとするが、有名デザイナーの一点物。
日本円で90万も必要だった。
自分は仕事をしていない。だが、娘はいつまで生きられるか分からない。
彼は、どうにかして金を工面しようとする。
宝石強盗を決行するが、根っからの悪人というわけでもない。
悪人なのだが、魔が差した程度で徹し切れていないのだ。
上の階に住んでいる主婦に吐瀉物をかけられて断念。
嘔吐した詫びと、夫に相手にされない寂しさから、主婦は主人公と一夜を共にする。
金が欲しい主人公は、彼女を恐喝する。衣装を買うために。
ここから様々な誤解が生じ、事態は最悪の結末へと向かう。
｜ポイント：ファム・ファタール
魔法少女ものと言うより、情事ノワールもの。
ファム・ファタールもの、つまり、「魔女（悪女）の物語だったのだ」と思い知らされる。
娘は父親を悪に走らせる。
また、主婦の方も別の男性を破滅に陥れる。
あんまり日本要素などは主張しておらず、誤解が誤解を生んだ悲劇がメインである。
｜ポイント２：ジグソーパズル
本作は、ちょっとした仕掛けがあって、それも面白い。
三章の主人公ダミアンが、ジグソーパズルのピースが埋まらないとい描写がある。
彼は元凶悪犯で、10年繋がれていた。パズルは出所した際のプレゼントとして、刑務所からもらったものだ。
劇中では、彼の人間性の復活をパズルが象徴している。なのに埋まらない。
そのピースが最序盤も序盤で、意外な形で発見されている。
見直すと、「え、こんなシーンで!?」と驚く。これに気づけた人はいるのかと言うくらい意外な場所だ。
まるで『サスペリアpart２』を彷彿とさせる手法である。
こういった部分も、
「こいつの人間性は、最初から失われていく運命だったんだな」
と後になって思わされる巧みさがある。
そういった、「あと一歩よく考えたら、踏みとどまれたはずなのに」と考えさせられる部分が随所にある。
二回、三回と見直して、面白さを再確認できる作品。是非是非。
｜まとめ
人が破滅に落ちるときは、落ちるべくして落ちていく。
●余談
小説講座の講師が絶賛していた作品
小説講座の講師が絶賛していた作品。
長山洋子さんのデビュー曲が劇中で使われたことで話題になった。
