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屋根裏の散歩者(2016) 原作にない、クソMエンド!

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江戸川乱歩の短編原作

 主人公の郷田は、自分のアパートが屋根裏伝いに行き来でき、のぞき穴から住人を監視できると知る。
 彼は、隣に住む歯科医師の遠藤をうとましく思っていた。
 
 木嶋のりこ(現:小原徳子)扮する大内照子が、遠藤の向かいに越してきた。遠藤を追ってきたのだ。

 遠藤は有力者の娘である直子(間宮夕貴)との婚約が決まっていて、照子が邪魔だと思っている。
 しかも、直子は明智小五郎の妻:文代に、不貞の現場をキャッチさせていた。
 それでも、「女を殴らないと勃たない性癖」のせいで、照子をつき放せないでいた。

 直子は喫茶店に照子を呼び出し、遠藤と別れるように告げる。

 照子は、
「遠藤から暴力を受けている。助けてくれ」
 と懇願する。

「絶対に許さない」
 と、照子は余計に直子の怒りを買ってしまった。

 
 結局、遠藤は婚約を破棄される。

明智小五郎の推理


 
 悲劇のヒロインである照子を救う計画を、郷田は実行に移す。
 遠藤の部屋からモルヒネを拝借して、屋根裏から垂らして殺害する。

 警察は、「不貞による婚約破棄が原因の自殺」だと、ほぼ断定していた。

 事件発生後、明智は住人の一人から
「遠藤の部屋から聞こえる目覚ましがうるさかった」
 との証言を得た。

 これから自殺しようとする者が、目覚ましなんてかけるか?
 

ポイント:クレイジー・サイコ・ドM

 この話は、女の情念がテーマとなっている。
 
 終盤、照子が実はとんでもない女だったことが、明らかになる。

 傷心の直子に向かって、
「コレで永遠に、彼は私のもの」
 と勝ち誇る。

 照子は助けてくれと懇願するフリをして、相手の被虐心を煽り、さらなる暴力を受けて悦に浸るという、まごうことなきドMだったのである。

 この展開は、原作にはない。


「原作どおりじゃない!」
 と怒り出す人もいるだろう。
 

 だが、このエンディングは実に乱歩らしい変態じみたエンディングで、オレは高く評価している。

 明智シリーズだが、ドラマ展開の変態度は、同作者の「陰獣」に近い。

 オレは、乱歩の作品だと、どちらかというとトリックの妙より
「変態的な要素」
 の方が好きで、人間の持つ異様さだとか不快感を前面に押し出した作品の方が面白いと思っている。

まとめ


 
 原作の要素をふまえつつ、より高みを目指す

 

余談

 終盤の展開は、いわゆる杉田智和さんがいうところの「クソM」だ。

 正しい定義がどうだったか忘れたが
 
「相手を怒らせてでも、不快感を与えてでも、自分が気持ちよくなるためにMに走る」

 人のことだったか。
 
 間違っていたら、申し訳ない。