ペット・セメタリー(1989) 「ホントは『ペット・セマタリー』というタイトルなの。つづりは間違ってるけど」
ペットロスが招いた悲劇
医師のルイスは、妻レイチェル、娘エリー、息子のゲージ、ネコのチャーチルと共に、田舎町へ引っ越してきた。
隣人のジャドから、ペット霊園へ案内される。
・この土地の道路は、あまりに車の往来がひどい。
・そのため、ペットが車にひかれて死ぬ事故が後を絶たなかった。
・ペット専用の霊園まで作られるような場所である。
ルイスはジャドから、そう教わった。
引っ越して早々、ルイスはパスコーという若い患者を看取る。
パスコーはルイスの夢に出て「墓の向こう側へは近づくな」と警告した。
自分を救おうとしてくれた恩だという。
レイチェルが子どもを連れて実家へ泊まりに行った後、エリーが大事にしていたネコのチャーチルを事故で死なせてしまう。
ジャドから、「動物霊園の向こう側に行こう」と誘われる。
パスコーの忠告を無視して、ルイスはジャドの指導するまま、チャーチルの遺体を埋めた。
後日、なんとチャーチルが帰ってきたではないか。
そこは先住民が使っていた霊園で、死者を蘇らせる力を持っていたのだ。
原作者すらビビったペットロス怪談
スティーブン・キングの映画の中でも、屈指の人気を誇る作品。
「Pet Sematary」とは、「ペット霊園」のスペルミスである。
正しくはCemetery。
「子どもにペットを埋めさせる」
という体で、看板も子どもに書かせたという設定。
原作者ですら発表を躊躇わせたという、悲しくも恐ろしい作品だ。
2020年1月17日に、ケビン・コルシュ& デニス・ウィドマイヤー監督によるリメイク版が日本で公開されるらしい。
ポイント:風変わりなメンター
本作の面白いポイントは、パスコーがトリックスターとして扱われている。
不注意で、息子がトラックにひかれて死んでしまう。
自暴自棄になった主人公は、息子を霊園裏にある先住民墓地へと埋めに行った。
レイチェルの実家にいた娘のエリーは、レイチェルに父の危機を夢で知らせる。
「パスコーがそう教えてくれるのだ」と。
半信半疑ながら、レイチェルはエリーの警告通り、夫の元へと急ぐ。
レイチェルにもパスコーが見えるようになり、度々助言をするように。
後部座席で微笑んでいたり、レンタカーの手配をしたりと大活躍である。
彼の存在は、悲劇的な展開が続く本作の清涼剤的役割を果たしている。
パスコー的な人物がいなければ、ちらすら血なまぐさい映画となっていただろう。
まとめ
物語のフック役として、トリックスターを配置する。
余談:
Netflixで視聴。
吹き替えはフジテレビ版である。
主人公の声優をつとめた大滝進矢さんの代表作は、「ザブングル」のジロンである。