アンデッド・ヴァンダミング・アクション 『ユニバーサル・ソルジャー』(1992)
|ベトナム戦争の兵士を用いた、アンデッド
1969年当時、ベトナム戦争下。
軍曹が、捕虜の耳を千切ってネックレスにしていた。話を聞かなかったからだと。
軍曹を殴り、捕虜を逃がす主人公。
「裏切り者め」
軍曹は、逃げていく捕虜を手榴弾で爆殺。
狂ってしまった軍曹を止めるべく、主人公は相打ちに。
それから25年後の現代、二人はアンデッド兵として蘇った。
現在は、テロ鎮圧などの人に当たっている。
だが、時々ベトナム戦争当時の記憶を思い出す。
|ヴァン・ダム VS ドルフ・ラングレン
本作の見所は、ジャン=クロード・ヴァン・ダムとドルフ・ラングレンの死闘である。
軍曹だったラングレンをヴァン・ダムが撃ち殺し、25年ごしに対決する。
第三者の介入で、抗争は激化する。
ゾンビ兵を取材しようと、女性クルーが軍用車のあとをつけていたのだ。
軍本部では、軽い錯乱を起こした主人公に対して呼びかける。
主人公は「村人は無実だ」と、うわごとのように言う。
死体を兵隊にしていると知った女性キャスターは、軍に見つかってしまう。
逃げようにも、載ってきた車は大破。
取材フィルムを渡しように命じられ、ごまかす。
だが、男性カメラマンが射殺される。
その光景を見て、主人公の記憶がフラッシュバック!
撃った軍曹を殴り、女性クルーを助ける。
走り去る車を見ながら、軍曹は言う。
「裏切り者」と。
|ソルジャーの弱点
軍の仕事が早い。
モーテルに逃げ込むが、電話が通じない。
男性カメラマンの殺害が、女性記者のせいにされる。
錯乱する記者を主人公は止めようとする。
しかし、自分がオーバーヒートして昏倒。
身体を冷やし終えたが、今度は敵に囲まれてしまう。
逃げるヴァン・ダム。
追いかけるラングレン。
|もう一人の視点人物
本作の実質的な主人公は、ヴァン・ダムである。
だが、語り手は女性記者だ。
彼女は自分の特ダネのために事件を追っている。
主人公は記者に、「どうしてそんなに親身になってくれるのか」と聞く。
最初こそ、記者は「自分のためだ」とはぐらかす。
協力していくうちに、彼を元の家族の元へ送る手助けをする。
軍を告発できる、膨大な資料を抱えて。
だが、元の記憶を取り戻した軍曹が立ちはだかることで、危険度がアップした。
主人公は、この難局をどう乗り切るのか。
|創作ポイント:主人公を構成する要素
アクション映画は、
「こまけぇこたぁいいんだよ!」
的な展開になりがちだ。
余計な人物背景は、アクション要素を薄めるからである。
だが本作は、主人公の持つドラマを丁寧に描いている。
だからこそ、主人公を応援したくなるのだろう。
主人公を作り上げる要素は、
・ハンデ
・目的
・ライバル
の三つが必要とされている。
本作の場合は、
・ハンデ:定期的な冷却、家族
・目的:記者の保護、自分のルーツを探る
・ライバル:軍曹
である。
・主人公が、ただ強い
・ライバルが、ただ怖い
という程度では、キャラとして弱くなる。
彼らの背景、ドラマが絡み合って、ラストの肉弾戦へと繋がるのである。
|まとめ
主人公に弱点や背景を持たせて、印象づける。
たとえ細部構築不要なアクションものであっても。
●余談
すぐに続編が作成されたが、批評家から酷評を喰らう。
そのせいで、正当続編とみなされなかった。
三作目が正当続編となったとか。
2019 1月現在、1作目と4作目がネトフリで視聴可能。