七人のおたく(1992) オタがもっとも迫害されていた時代の快作
ウンナン主演
ミリオタの星亨(南原清隆)は、
格闘技おたく・近藤(内村光良)
パソコンおたく・田川(江口洋介)
無線おたく・令子(浅野麻衣子)
アイドル&改造車おたく・春夫(武田真治)
田川の彼女である「りさ(山口智子)」
の六名をともなって、とある島へ向かう。
任務は、とある子どもの救出作戦である。
外国人女性が、高松(中尾彬)という男のDVに耐えかねて、我が子を連れて逃げ出した。
星の近所に引っ越したが、高松に見つかり、息子は連れ戻される。
近所に住んでいた星は、女性の助けになろうとしたのだ。
作戦はうまくいったが、最後で船の改造に失敗し、作戦は失敗に終わる。
特に咎められることもなく、六人は帰される。
散り散りになったオタクたち
高松からすれば「跡継ぎを連れて帰っただけ」という大義名分があり、家でも丁重に扱われてていた。
自分たちの行いは正義なのか、仲間たちは困惑する。
抜けるメンバーまで出始めた。
残ったのは言い出しっぺの星と、近藤だけ。
二人は島に隠れ家を作り、作戦を練る。
そこに、・丹波(益岡徹)が現れた。
彼は高松の部下であり、伝説のフィギュアおたくだったのである。
他のメンバーたちも島に戻ってきた。
ポイント:持ち味を活かす
この作品の見せ場は、それぞれが見せ場を作り出すところである。
フィギュア王の精巧なジオラマによって、島の形状などをくまなく把握することが能となった。
令子は、最初の作戦も、解散後の第二次作戦も大活躍である。
万能すぎなくらい。
残念なポイントは、中盤のお色気作戦だけ。高松から子ども扱いされ、退散していく。
一方で、りさはお色気作戦によって高松を釣ることに成功。
りさを襲うときの高松が言うセリフがゲスい。
「どうせなら、日本人の子孫が欲しい!」
と、今の息子を否定する言葉を吐く。
この発言により、近藤から迷いが消えた。
「自分たちの行動の正当性」を認識する。
その近藤も、いざというときケンカが弱いという弱点があった。
彼には実戦経験がなかったのである。
が、迷いがなくなったことで欠点を克服し、悪漢を相手に無双を始める。
1990年代と言えば、もっともオタクが迫害されていた時代だ。
それなのに、オタクを茶化さず、かといって美化しない、快作を生み出すことに成功している。
まとめ
競うな! 持ち味を活かせ!
余談
注目は、田川の持っているである。
Macの「クイックタイム」が、最新ソフトとして紹介されているのだ。
この辺り、時代を感じさせる。
プロペラ機のフライトシミュレータを、りさに見せる様はまさにオタクである。
なお、本作は京野ことみが「アイドル歌手」の役で出ている。
しかも「京野ことみ本人」の役で。
この場面も時代を感じさせる。