パワー・レンジャー(2017) ガワはジュウレンジャー、シナリオはメガレンジャー
ブレックファスト・クラブ風戦隊
ジェイソン・スコット / レッドレンジャー(デイカー・モンゴメリー:勝地涼)は、牛を盗もうと交通事故を起こし、フットボールチーム加入の道を絶たれた。
特別クラスで勉強をすることに。
ヲタの黒人、ビリー・クランストン / ブルーレンジャー(RJ・サイラー:杉田智和)を助けたお礼に、秘密の鉱山へ連れて行かれる。面白いモノを見せてくれるらしい。
そこにいたのは、同じく補習クラスに入らされたキンバリー・ハート / ピンクレンジャー(ナオミ・スコット:広瀬アリス)だ。
彼女は、チアリーダーのメンバーから外された。
不登校児の中国人ザック / ブラックレンジャー(ルディ・リン:鈴木達央[12])、不思議ちゃんのトリニー / イエローレンジャー(ベッキー・G:水樹奈々)は、ビリーが起こした鉱山爆破に巻き込まれる。
そこで五人は不思議なコインを拾った。
守衛に追われる中で事故を起こす。
翌朝、全員が自室で目覚めた。
不思議な力を手に入れて。
スポーツバカ、カースト上位の少女、いじめられっこのヲタ、ヤンキー、不思議ちゃんの五人が一堂に会する。
ここまでの流れは、『ブレックファスト・クラブ』を思わせた。
「おーはよーございまーす!」
恐竜の時代から宇宙船を守っていたアンドロイド、アルファ5 (ビル・ヘイダー:山里亮太)と鉱山で出会い、五人は自分たちが「パワー・レンジャー」というヒーローの力を手に入れたと教わる。
レンジャーは太古の昔、リタという敵と戦い全滅したと語る。
再びリタは再生し、生命の源であるクリスタルを狙っている。
変身せよ! と指示され、変身を開始。
だが、スーツを装着できない。
何日も訓練を行うが、結局変身には至ったのはジェイソンとザックのケンカを止めたビリーだけ。
しかも、一瞬で変身は解けてしまう。
五人は自分たちを理解し合えば変身できるのでは、と結論に達する。
この辺りも、ブレックファスト・クラブを思わせた。
たき火を囲んで自分の身の上やコンプレックスを話すシーンも、ブレックファスト・クラブに同じような場面がある。
ザックの母親は病気だ。
トリニーは転校を繰り返している。
それぞれが秘密を語り合う。
だが、キンバリーは語らない。
結局、全員がわかり合えないまま、事態は最悪な方へと進む。
リタにおびき出され、五人は捕まってしまう。
ビリーが仲間のために身を挺し、命を落とす。
それでようやく、全員の心が一つになった。
太古のレッドレンジャーの力を借り、ビリーも復活。
ポイント:ヒーローモノの要点を絞る
このように、本作はヒーローモノの第一話を、二時間使って丁寧に描写している。
だいたい戦隊ものは、仲間集めに一話を使い、その後設定解説やヒーロー内部の結束に一話、ロボを操るのにも一話分用いて展開する。
数にして三話分の話を、戦闘シーンをクライマックスに圧縮して展開することで、二時間で展開する。
ただし、ほぼ人間ドラマである。
そのため、「戦隊アクションだけ見たい!」という特撮沼のヲタには退屈かも。
まとめ
いかにストレスなく、設定を伝えるかに全力を注ぐ。
余談
ガワのデザインこそ「ジュウレンジャー」で有名だが、学園モノの括りで言えばメガレンジャーか。
「ターボレンジャー」も学園モノだが、ノリで言えば悪ガキばっかりの「メガレンジャー」に近い。