レクター博士を逮捕した男に降りかかる、さらなる災難 『レッド・ドラゴン』(2002)
|ハンニバル・レクター逮捕
FBI捜査官ウィルは、連続殺人犯を捕まえるため、レクター博士から助言を受ける。
だが、博士が見逃すはずのない推理を外していたことから、違和感を覚える。
独自の考えにより、レクター博士の犯行に辿り着く。
命がけの乱闘の末、博士を確保した。
だが、そのトキノダメージが大きく、主人公は現役を引退した。
|新たな依頼
海辺でのんびりくらすウィルに、元上司が「咬みつき魔」事件の捜査を頼んでくる。
やる気がなかったが、連続一家殺害事件だと聞かされ、危機感を覚えるウィル。
犯行現場で捜査する主人公。
大人も子どもも血液は同じ、赤い色だ。
「死んだらみんな同じ」と、思い知らされるシーンである。
遺体には、鏡の破片が入れられていたとか。
奇怪な好意を、ウィルは疑問に思う。
犯人の特徴を知ることができたが、犯人の見当は付かない。
ウィルの功績を元上司は称えるが、ウィルは「犯人逮捕こそ重要」という。
「自分が犯人逮捕できたのは、助力があったからだ」と。
元上司は、最悪の決断をウィルに求める。
「では、その助力を求めればいい」
ウィルは渋々、ハンニバルの手を再び借りることにした。
|ハンニバル再び
ハンニバル博士が収容されている刑務所へ。
分析によると、「咬みつき魔は内向的。自分を醜いと思っている」
博士は言う。
「君がなぜ私を捕まえられたか分かるか? 似たもの同士だからだよ……」
最初の犯行現場を捜査し終えたウィルは、博士に「犯人のずさんさ」を指摘。
だが、博士の推理によると「犯人は成長している」らしい。
|巨大な赤い龍と太陽の衣をまとった女
博士の助言に基づき、ウィルは画家「ウィリアム・ブレイク」の詩集に行き着く。
画集も見せてもらい、
『巨大な赤い龍と太陽の衣をまとった女』
に行き着いた。
博士の下にファンレターが届く。相手は「咬みつき魔」からだ。
彼は「レッド・ドラゴン」の刺青をして、神に近づこうとしている。
レクターは犯人への返信で、ウィルの住所を咬みつき魔に送っていると判明。
あらゆる資料が、博士の独房から没収された。
一方、犯人は、盲目の彼女を手に入れた。
しかし、自分の中にいるケダモノを押さえ込み、苦悩する。
|創作ポイント:対決の構造
ハンニバルは、咬みつき魔を使って主人公を殺そうとしている。
だが主人公も、ハンニバルを利用して犯人に辿り着こうとしている。
自分をエサにするかのように。
当事者こそいないものの、共に「レッド・ドラゴン」を経由して目的を達成しようとしている。
この対決場面は、実にスリリングだ。
そして、レクターの要求を飲んだウィルは、ようやく犯人の手がかりを掴むのだが。
猟奇ミステリ、ノワールなどは、「ただ暴力的・残虐であればいい」と思われがちだ。
血が見たいのだろう、と。
そうではない。
「誰が血を流すか」が問題なのだ。
誰が悲惨な目に遭い、誰がそれを乗り越えるか。
それこそが、ドラマを生み出す。
|まとめ
ミステリ、ノワール・サスペンスは、ただ残虐、暴力的であればいいわけじゃない。
「誰が血を流すのか」
を描くと、より濃密なドラマになる。
●余談
オレは3回見た
結末が分かってるはずなのに、やはり面白かった。