離婚が子どもに与える悪影響 『E.T.』(1982)
|Netflixで配信された!
見たことがなかったので、ちょっと気になる。
大昔に、研ナオコさんが「かくし芸」でE.T.を演じていたのは覚えているのだが。
|実は、集団で地球に来ていた
UFOで、地球の調査に来ていた。
住宅街を見ていた個体が、人間に発見される。
(意外と俊足なことに驚いた)
。
飛び立つ宇宙船。
ETは仲間に置いて行かれた。
とある民家に住む少年は、物置に何者かが潜んでいると察知。
周りは気のせいだと意に介さない。
だが、少年は宇宙人が潜んでいるだろう森にチョコレートを落とし、家に誘導。
庭で休んでいると、物置から例の宇宙人が。
ゆっくりと少年に近づき、手を差し伸べる。
渡してきたのは、少年が森に落としてきたチョコレートだった。
|エクストラ・テレストリアル
兄と妹(あのドリュー・バリモア!)を巻き込んで、宇宙人を家に匿うことにした少年。
「エクストラ・テレストリアル(地球外生物)」、略して「E.T.」と名付けられ、妹のおかげで言葉まで話せるようになった。
E.T.とコンタクトできるようになった少年は、彼が自分の星に通信をしたいと知る。
迎えをよこしたいのだ。
少年は、兄と通信機を作り始める。
だが、E.T.を狙う何者かが、少年の家を探索していた。
|有名なシーン
映画のジャケットにもなった「光る指で少年とふれあう場面」
実は、宇宙交信用のアンテナを作ろうとした少年が、電ノコの刃で指を切ってしまい、それを治療したシーンなのだ。
特に感動するシーンではない。
ハロウィンの日に帰ろうと、外出する宇宙人。
ヨーダのコスプレイヤーを仲間と間違えて、ついて行こうとする。
満月の夜、少年とE.T.を載せた自転車が、超能力で空を飛ぶシーンへ続く。
|既に、創作のネタに
「自転車に乗った少年が、カゴに乗せた宇宙人と空を飛ぶ」
というシーンは、ライトノベル
『電波女と青春男』
でも用いられている。
ヒロインの名は、「藤和エリオ」。つまり「E.T.」だ。
父親の愛称は「エリオット」である。本映画の主人公の名前である。
|離婚のオマージュ
主人公と宇宙人の別れは、離婚のオマージュなのだという。
SFと思われているけど、人間ドラマやねんで、と。
冒頭で、主人公と母親が仲違いをするシーンが挿入されている。
「こんなとき、父ならあなたをたしなめるのに」
という母親に対して、
「父はメキシコで新しい女房と住んでいるやんけ!」
と、主人公は母親に冷たく言い放つ。
普段主人公をおちょくっている兄ですら、このときばかりは真面目に主人公を叱る。
彼は、家に拠り所がないのだ。
そこへE.T.が現れた。
「ずっと地球にいていい。僕が守るから」
と、宇宙人に告げる主人公。
だが、宇宙人は地球の環境に適していなかったのだ。
衰弱していく宇宙人。
離れなければならない二人。
だが、主人公は別れを受け入れ、遠い空へ去りゆく友人を見送るのだ。
こういった悲しい別れは、スピルバーグ自身が経験した両親の離婚に起因しているという。
「両親の離婚で、いかに子どもが傷つくか」
がテーマとなっている。
ただ、「離婚」というフレーズをストレートには語らない。
主人公たちは父の話題になると、
「父はメキシコにいる」
と、はぐらかす。
主人公がこの言葉を言うと、母親が不機嫌になる。
家族の空気が凍り付くほどに。
単語だけで、「父親が遠くに行っている」と分かる。
こういった言葉のコントロールが非常に巧みである。
|まとめ
「重いテーマを、メタファーとして表現する」
のに、本作は役立つだろう。
●余談
この映画の影響で、宅配ピザが日本にもやってきたらしい。
冒頭、主人公の兄貴グループが、TRPGをしているとき、主人公に「ピザを外でもらってこい」と使いに出されるシーンがある。
ハロウィンが日本で知られるようになったのも、本作の影響だとか。