キャラの尻を追うだけで、物語が分かる 『楽園追放』(2014)
|人の住めなくなった地球が舞台
遙か遠い未来、ナノマシンの技術が暴走して、地球は廃墟と化す。
人類は宇宙ステーションで「データ」として住んでいた。
あるとき、廃墟だったはずの地球から信号が送られてきた。
「こんな星捨てて新天地を目指そうぜ!」
謎の信号を探知するため、調査員が派遣される。
調査団の一人が、アンジェラたんである。
だが、データである彼女たちが地球へ降りるためには、肉体を構成する必要がある。
アンジェラたんは、仲間を出し抜くため、「他のメンバーよりも若く身体を調節」。
実年齢20代半ばの彼女は、16歳の若さで地球へ降り立った。
ギターをこよなく愛する現地オブザーバーの男性ディンゴと、信号の発信元を探る。
そこにいたのは、一体のロボットだった。
|脚本は虚淵玄
虚淵玄が脚本を担当するこの作品。
本作は比較的おとなしめの虚淵玄だ。
とはいえ、人間の心理に触れる一本なので、虚淵脚本らしかなと。
宇宙の新天地へ向かうよう、ロボットは世界中に呼びかける。
その結末を見れば、「あー虚淵だわー」と思うに違いない。
他には、終盤の板野サーカスなど、アクションも満載だ。
|創作のポイント:活き活きとしたキャラ
アンジェラたんの快活な立ち回りがいい。
冒頭でハッキングシーンで、いきなりTKB全開。
話に何も絡んでこない全裸なのだが、「コンピュータ世界に飛び込んだよー」という描写として、丸裸、というか丸腰で対処しないといけない、という雰囲気を出している。
地球へ降り立つ際の、肉体を作るシーン。
自分のシャドウとスパーリングする。
この段階でモーションのレベルが高いと分かる。
個人的なツボは、地球でうどんを食うシーンである。
おそらく、始めて口からモノを食べたみたい。
CGのせいもあるのか、箸の使い方もおぼつかない様子。
飯を食うシーンって、CGでやるにはまだ未発達な面があるなーと。
そこへディンゴが、七味をうどんに振りかけた。
味が変わったのを確認し、表情が変化するアンジェラたん。
さらに箸を進める。
こういう表情の細かいところにまで仕事が行き届いている。
最初は地球に対して「ホコリっぽい!」と文句ばかり言っていたアンジェラたん。
だが、音楽を知り、人とのふれあいを知っていく。
地球の文化に馴染むにつれ、名残惜しくなっていく。
|結論
アンジェラたんだけ追いかけたい人でも、
アンジェラたんを追いかけているだけでストーリーが分かる。
この構成は見習うところがあるのでは。
|余談
他のエージェントがロボットを壊しに来る。
そのメンバーがまた豪華声優陣なんよ。