長編小説を仕上げるには、『起承転結』だけでは難しい! 『ブレイク・スナイダー・ビート・シート』を使おうぜ!
皆さんはブレイク・スナイダー・ビート・シート(以下BSBS)をご存じだろうか?
映画脚本家・故「ブレイク・スナイダー」死が開発した脚本構成術だ。
詳しくは「SAVE THE CATの法則」に載っている。
長編で新人賞を取りたくて、オレは小説講座を受け始めた。
その講義の中で、この本に出会った。
講師いわく、カッコ内の数字は、
「DP(電撃ポイント)として考えろ」
という。
「電撃文庫の新人賞のページ規定文字数・行数」
だと考えればいいらしい。
BSBS 内訳
1.オープニング・イメージ(1)
冒頭部分
2.テーマの提示(5)
主人公の目的を明確に
3.セットアップ(1~10)
読者の興味を引く場面として扱う。
黒幕や、事件の犯人などは、ここで出てくる必要がある。
4.きっかけ(12)
作品最初の「災い」が降りかかる。
5.悩みのとき(12~25)
「行けよ」と言われ、「やだよ!」と言える、最後のポイント。
ここを過ぎると、主人公はもう帰れない。
あるいは、目標達成まで日常へは戻れない。
6.第一ターニング・ポイント(25)
主人公は選択して、旅をする。
7.サブプロット(30)
メインテーマがAストーリーだとする。
と、ここはBのストーリー。
アクション映画におけるロマンスの場面。
8.お楽しみ(30~55)
最も盛り上がるシーン。
お約束を果たす場面。
9.ミッド・ポイント(55)
作品の前後半の分かれ目。
一気にシナリオの危険度が増す。
10.迫り来る悪い奴ら(55~75)
外からも、内部からも、圧力が掛かるシーン。
11.すべてを失って(75)
「見せかけの敗北」とも言われている場面。
何もかも失う。
代表的なものでは、
「メンター(指導者)が死ぬ」
シーンが入る。
SWでいえば、オビワンだ。
12.心の暗闇(75~85)
敗北した主人公が、落ち込む場面が入る。
「亀さん。どうやら我々は、とんでもない間違いを、犯したみたいですよ」
と、十津川警部が語る局面だ。
13.第二ターニング・ポイント(85)
何らかのヒントを得て、主人公が立ち直る。
Bストーリーなどで得た恋人からの助言など。
14.フィナーレ(85~110)
「テーゼ」から「アンチテーゼ」へと進み、一度負けた主人公は、
「ジンテーゼ」
を得る。
つまり、「過去から得たことを学び、第三の道を進む」のだ。
15.ファイナル・イメージ(110)
オープニングイメージとは対極の、変化が起こったことが分かるイメージ。
あらゆるストーリーは、変化について語るモノである。
メリット
・長編が楽に書ける!
この手法を利用することによって、起承転結では謎だった部分が、あっという間に埋まるのである。
これこそ、BSBS最大のメリットだ。
ただ「しょーもないネタでも書けてしまう」というデメリットがあるので注意!
書き慣れた辺りから気をつけよう。
・どの部分が甘いのかが分かる!
BSBSを活用することで、どの場面が盛り上がらないかが分かる。
「敵が弱い」とか、「ピンチの演出が甘い」など。
・他作品での盛り上げ方を学べる!
BSBSを使用しているプロの作品は、思いのほか多いと思われる。
なので、自分が好き作品を一度BSBSに分解して、再度読み返すと、どこに力を入れているのか、話の繋がりの自然さ、などが学べるのではないだろうか。
活用方法
起承転結に当てはめる。
実はこれ、いきなり何もないところから当てはめようとしても、うまくハマらない。
そこで、「起承転結」でお話の骨組みを一回作る。
その後、BSBSを使って当てはめていく。肉付けをするのだ。
|まとめ
プロの作品をテンプレート化して、仕組みを学び、自分の作品に活かす。
長編を書く力がない人は、一度試してみては?