森永ラムネが食いたくなる映画 『レオン 完全版』(1994)
ジャン・レノがナタリー・ポートマンを一流の殺し屋に仕立て上げる、暗黒『ベスト・キッド』。
おそらく、映画好きに『人生で最も好きな映画は?』と尋ねたら、本作の名が返ってくるだろう。
冒頭のゲイリー・オールドマン扮するノーマン刑事が、またクセの強いヤツなんだ。
ピルケースのカプセルを囓ってキメる。
「ベートーベンは好きか?」
と手下に聞きながら、
「今聴かせてやる」
とショットガンをぶっ放す。
ノーマンは、主人公マチルダの家族を次々と殺していく。女子どもも容赦なく。
女子どもだって容赦しない。
このカプセル囓るシーンと、ノレンをくぐるシーンは、映画好きなら誰もがマネしたことだろう。
オレもフリスクで、ノーマン刑事のマネをしていた。
ノドが痛くなって森永ラムネに変えた。
そこから、少女マチルダは復讐を誓い、近所に住む殺し屋から殺人の指導を受ける。
動機は、弟を殺されたからだ。他の家族はどうでもいいと話す。
殺しを教わる代わり、マチルダはレオンに読み書きを教える。
●ポイント
「のぞき窓にガム付けてドン!」
という方法で、レオンとマチルダは仕事をこなしていくシーンがある。
前半に彼なりの仕事における美学、丁寧な殺しの手口を見せる。
そこから一切の描写を排除する。
マチルダがガムをのぞき窓につけるシーンだけで、勝手に想像力がかき立てられる。
●創作の役に立つ?
満点。
足し算と引き算の振り幅が絶妙。
この映画は、創作に役立つ。
リュック・ベッソンが『フィフス・エレメント』を撮るために作った映画。
たった2日間で『レオン』の脚本を完成させたとか。
だが、絶賛されたのはレオンの方である。
それだけ、レオンのシナリオは優れているのだ。
『フィフス・エレメント』も、ミラ・ジョボビッチを輩出した作品なのだが。
よく「自分的には不満のある、地味な作品」が、世間で評価されることがある。
また、「自分のお気に入りが、まるで相手にされず、けなさている」なんてことも。
しかし、創作なんて、そんなもん。
人の評価もまたしかり。
そこに一喜一憂しても仕方ないかなと。
自分の作品の良さなんて、自分でも分からなかったりする。
小説講座に通っているため、オレにはそれがよく分かる。
だからこそ、自分の好きな作風で書いてみて、周りに見てもらうことは大切。
自分でも面白くて、求められている作品を追求する方向で。
趣味なら別にいいけど、新人賞を取りたいなら、好みと需要、どっちも必要らしい。
ただ、相手がディスってきたら、そいつのせいなので、そんな奴らは排除すればいいけど。
分かって欲しいのは、
「どれも自分が考え、執筆した内容」
なのだということである。
●結論
他人の評価は操れない。
自分を信じよう。
●余談
この映画、二人のラブシーンがあるらしい。
脚本上では本当にイタしている描写もあったとか。
でも本編には、それを想起させるっぽいシーンしかない……。
完全な完全版はよ。