絶・対・に・創作の役に立たない映画評のブログ

創作に役立つ、オススメの映画を紹介

『鉄男』(1989) ダークサンシャイン池崎

 

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冒頭からグロ注意!

 走ることに固執し、脚にエンジンを取り付けようとした男がいた。
 演じているのは塚本監督本人だ。
「やつ」は太ももを切り裂き、中にぶっといネジを突き刺す。
 いきなりグロシーンから始まる。

 脚にはウジが湧き、やつは駆け出す。
 やつを、主人公は車で跳ね飛ばしてしまった。

 そこから、物語は動き出す。

 

鉄に変わっていく身体

 翌朝、男がヒゲを剃っていると、頬に金属片が飛び出ているのが見えた。
 引っ張り出そうとして出血してしまう。

 駅で電車から降りると、左手が鉄くずに覆われた女に襲われる。
 どうにか女を撃退したが、今度は自分が鉄の塊になっていく。
 腕からエンジンのような部品が飛び出し、足首からもパーツが。

 主人公は、鉄パイプのような触手を持つ女に、バックで突かれる幻想的な夢を見る。
 目覚めて顔を洗っていたら、頬の金属部分が更に大きくなっていた。
 

制御不能の果てに

 体じゅうが金属化し、主人公は狂気に飲み込まれていく。
 全てを忘れるため、彼女との逢瀬を重ねる。 
 だが、男の股間にドリルが生え、彼女を突き殺してしまう。

 脳まで金属化し、撥ねた男に乗っ取られているのだ。
 やつは生きていた。常に敬語で、やけに礼儀正しい。


 主人公は、やつとの最終決戦に挑む。

 

 

 現れた「やつ」の姿は、まるでサンシャイン池崎みたいな短距離走ウェアの男だった。

 

|めんどくさそうな対決シーン

 本作の特徴は、アクションシーンの殆どが、写真コマ撮り連写を使っている。
 低予算なのに、この疾走感!
 終始モノクロで撮影されている映像故か、チープさより不気味さの方が勝る。
 だが、撮影状況を考えると、さぞめんどくさかっただろうと思わせる。

|創作ポイント:天才の頭の中

 やべえ。

 まったく理解できない。
 脳が分析を拒絶するほどのスケールだ。
 なのに、見入ってしまうこの魅力。

 テリー・ギリアムキューブリックなど、オレなりにワケ分からん系は多く見てきた。

 オレ的に、あんまりこの手の「よく分からない系スプラッタ邦画」は避けてきたように思う。
 それゆえに、解析が追いつかねえ。


 個人的には、押井守作品や『ゼイリブ』的なB級アクションを想像していた。
 が、本作はいい意味で、予想を裏切ってくれた。

 アニメ映画『AKIRA』の「鉄雄」を意識したのかと問いかけに対して、「彼はまだ鉄になりきってない」と返したという。

 この次点で「何を言ってるんだ?」という疑問が湧く。

 説明はできないのだが、謎の説得力があって、圧倒された。


|まとめ

 天才の作品は、理解しようと思った次点で負け。
 むしろ勢いに任せて受け入れる。
 
  
●余談
 
 ラストを見て、

「そういえば老人Zもこんな終わり方やったよなー」

 と思ったヲタは、オレだけやないはずや。