『イコライザー』 (2014) メロス、激怒した?
|老人と海、おっさんと娼婦
口元にアザのある娼婦が、黒人のおっさんに声をかける。
おっさんはヘミングウェイ『老人と海』を読んでいると語る。
「ねえ、釣れたの?」
おっさんは、本の内容を親切に語る。
普段はホームセンターで働いていて、金はなさそうだが人望はあるオジンという感じ。
だが、実はこのおっさん、元CIAだった。
客に歯向かった娼婦に対し、声を失うほどの暴力を振るったギャング一味を、たった19秒で壊滅させた。
ギャングのバックにいる権力者にさえ、正体を掴ませないという強者である。
敵の背後関係も洗い出し、おっさんは逆襲を開始する。
|デンゼル・ワシントンが強い!
主役はデンゼル・ワシントン。
彼はなんというか、無双的強さというか、「あんまりピンチにならない系」の強キャラだ。
キアヌなどは大ピンチに陥るのだが、デンゼル系映画はどちらかというと「弱者の味方」的な映像が多い。
そのため、「誰かのピンチに駆けつける」か、「誰かの仇を討つ」系の映画になることが多い感じ。
本作も、「暴力を振るわれた娼婦に代わって悪を撃つ」というシナリオだ。
『マイ・ボディガード』でも強かったね。
誘拐された少女の行方を知るために、誘拐犯の一人を尋問という名の拷問にかけるシーンとか最高だった。
あの容赦のなさときたら。
|創作ポイント:無双系の魅力
先述したが、無双系の見せ方がノンストレスである点こそ、本作のポイントかと思う。
強い人がゼーゼーいいながら強敵と戦うというのも魅力だ。『マッドマックス』みたいな。
が、雑魚相手に必死になられても、という場面があると萎える。
その点、本作は敵が基本チンピラばかりだ。
大量に沸いてくる雑魚を、デンゼル・ワシントンが蹴散らしていく爽快感はたまらない。
ただ、無双系は「周りにいる人達はダメージを受けなければならない」というストレスポイントがある。
痛々しさの度が過ぎれば、受け手は多大なストレスを受けてしまう。
また、無双系が強くなりすぎると、今度は報復もありえる。
それもまた醍醐味なのだが、受け手としてはまたも「しんどいポイント」となる。
ここをうまく料理できれば、見る側も
「よっしゃ、やられた分をちゃんとやりかえしてくれるんやな」
と安心できるのではと。
|まとめ
無双にも限度がある。
やりすぎると、かえって報復がえげつなくなってしまったりする。
●余談
施川ユウキ氏著『バーナード嬢曰く。』というマンガにも、このエピソードが出てくる。
小説は読まないが映画は見る少女が主人公で、記事タイトルも、セリフからの引用だ。
アニメ版では、本映画の引用シーンで「実際に娼婦役をしている中の人」を使っている。