絶・対・に・創作の役に立たない映画評のブログ

創作に役立つ、オススメの映画を紹介

(ネタバレ注意!)振り回されるは、ゾンビか監督か 『カメラを止めるな!』(2017)

f:id:pixymoterempt:20190104182640p:plain

ゾンビから逃げる撮影スタッフと、狂気に染まった監督
(注意)
 本ブログは、映画本編のネタバレを含みます。
 ネタバレがイヤなら、カクヨム版の方へ。

  ゾンビ映画のラストシーンは、もうかれこれ40テイクを迎えていた。


 監督は激怒し、ヒロインやゾンビ役に当たり散らす。
 休みを挟み、軽い談笑が始まる。

 

 この撮影現場は人体実験があった施設跡地で、ゾンビが出ると、ベテランスタッフは語る。

 

 そこへ、本物のゾンビが現れた。

 監督が、儀式を行ってゾンビを蘇らせたのだ。
 臨場感ほしさに。全ては映画の完成度を高めるため。
 

●この映画のポイント
 
 内容は、ごく普通のB級ゾンビ映画である。
 だが、その様子はどこか妙だ。

 

 なぜ、やたら護身術で繋いでいるのか。


 外はゾンビだらけだと説明したばかりなのに、なぜ、無言で立ち去ろうとするスタッフがいるのか。


 都合よく、ヒロインが武器を見つけた理由は?

 

 ゾンビに襲われ、カメラが倒れたまま撮影が続行されるシーンも。
 
 そんな不自然な場面が続くなーと見ていたら、なんと映画が終わってしまう。

 

 あれ、ポップコーンめちゃ残ってる。
 ジンジャーエールも大量にある。
 オレは時計を持っていない。スマホの電源も切っている。時間確認ができん。
 スタッフロールが終わり……。

 

 その後の展開を見て、オレは思った。
「ああ、タイトルってそういう意味だったのか」
 と。
 
 後半になり、実は「メイキングがある」と分かる。
 
 オレは本作を、映画館で見ようと思って、
「この時間やったら、ええ席で視聴いけるやろ?」
 と高をくくっていた。

 

 いざ予約の段階になると、ほぼ前の席しかなかった。「マジかよ」と。それだけ人気作だったのである。

 

 ちょっと、この映画舐めてた。

 是非、ゾンビ映画だと思って騙されて欲しい。


●創作の役に立つ?

 役立てて欲しい。

 いわゆるマトリックス』系映画。

 

「AパートとBパートが全然違う話」
 という手法は、小説でも結構使われている。

 

「別のキャラの視点で物語が展開する」

 という手法として、結構あったり。

 

「映像になっていない部分を楽しむ」という盛り上がり方もできて、得した気分にも。

 

 実際、これをマネする小説とか増えるやろうね。

 

 

●結論

 

 本作は、サラリーマンの悲哀であり、家族モノである。

 ダブルシナリオというテクニカルでウケたのではない。

 


●余談

 実は、本作はもう一つメイキングがある。

 

 スタッフロールの時に、
「この映像は、実はこう撮っていましたよ」


 と「本当のメイキング映像」が流れるのだ。

 NG集というか。

 

 カメラマンがこけたシーンの映像は、スタッフが実際に転倒して、そのまま「アクシデントがあった体」として流したという(制作秘話より)。

 

 このメイキングも、実に哀愁が漂っている。


 最後の映像の撮り方とかは、「ですよねー」と、思わず苦いため息をついてしまう。