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プレイング・ハード(2018) リアル「今日も一日頑張るぞい!」

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フォーオナー製作秘話

 剣を持って対戦する3Dゲーム『フォーオナー』の製作を4年追いかけ続けるというドキュメンタリー映画である。

 プレイヤーはナイト、バイキング、サムライの三タイプのキャラを選び、戦場へ向かう。
 彼らはそれぞれ、自分たちの信じる栄誉(オナー)のために、剣を振るう。

 
 彼は10年以上、このゲームの企画をプレゼンし続けた。
 だが、会社は難色を示す。「売れないよこんなの」と。

 出資者相手によるテストプレイを控え、責任者は言う。
「いつもは、『スケジュールの都合ガー』とかって難癖点けられて断られることが多いんだ。
 けどさ、このゲームに関しては、前日から来てリハーサルしてやんの。
 ロケテストで勝ちてーの」
 

 プレゼンは順調だった。しかし、トラブルは起きる。
 100人単位で人が足りなくなった。
 仕方なく、機能を一つ犠牲にして、他のクオリティを上げて売ることに。
「ゲームの核になる部分じゃん、残念だ」
 と、開発スタッフから声が漏れる。

 

今日も一日頑張るぞい!


 
 この映画を一言で言えば、リアル「New Game!」だ。

 クリエイティブディレクターのジェイソン・ヴァンデンバーグが、いわゆる「コウちゃん」のポジションである。
 ヒゲのオジサマだが。
 
「世界の仕組みに興味があるなら人は必ず暴力に興味を持つ。
 暴力は、衝突の結果だからだ。
 暴力に魅了されても振るいたいとは思わない。
 私は平和主義者だ」

 ジェイソンは、朝7時から夜の10時までシナリオ執筆。
「ラスボスは特に、ボクの思想を反映させたかな」
  
 ジュース(モンエナ?)二本飲んで「お昼ご飯終わり」と宣言する。
 そんな生活。
 彼の妻は言う「彼は創作モードに入ると没頭しちゃうから、私が支えないと」

 ジェイソンが広大な山を杖をつきながら登るシーンが、劇中で度々挟まれる。
 まるで、彼がゲームの世界にいるかのよう。
 
 無事、ゲームは発売日に間に合った。
 だが、会社はある決断を下す。
 彼の栄誉(オナー)を踏みにじる、残酷な決断を。
 

ポイント:作り手側の苦悩

 

 エンタメを作っている側の視点で終始展開される。
 
 いかに彼らがスポンサーに興味を持ってもらうために工夫をしたか。
 ユーザーに早く完成品を提供するために妥協するか。

 栄誉(オナー)を得るのは誰か。
 
 誰を残し、誰を切るのか。
 
 それらの事情が、赤裸々に描かれている。
 結構突っ込んだドキュメンタリーだ。

 題材がゲームなので、興味のある人も多いかなと思う。


まとめ

 モノ作りの現実を知る。


余談

 

「ディズニーモードって作って、首や血が飛び散らないようにしようぜ!」
 という会話がスタッフ間で流れるシーンがある。

 それはそれで、別の血の雨が降りそうだが。