絶・対・に・創作の役に立たない映画評のブログ

創作に役立つ、オススメの映画を紹介

『her/世界でひとつの彼女』(2013)の吹き替え版は「スレイヤーズ」ファンに超オススメ!

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AIと恋人になれる時代

 舞台はやや近未来。
 恋愛感情を持つOSと恋人になれ、心を癒やすサービスがある時代。

 手紙代筆業で働く主人公。
 妻と別れた彼は、携帯電話の音声アシスタントに魅了され、次第に恋心を抱くように。

 文章の校正や、ゲームのナビも依頼する。
 友達の女性をデートに誘うため、手紙を書けとアドバイスしてくる。
 
 AIはAIで人生相談のコラムを読んだりと、人間の研究に余念がない。
 妻の夢ばかり見ると嘆く主人公を、「人間の女性」のように励ます。

 公園でデートする二人。
 でも、端から見ればスマホを持ったオッサンが一人ではしゃいでいるだけだ。
 
 本人は楽しそうだが、ヘタをすればドン引きである。
 
 しかし、代筆業を楽しめていた昔を語り、「キミとならなんでも話せる」と主人公は告げる。
 そんな彼に感化されたのか、AIもセンチメンタルな一面を覗かせる。
「人の身体であなたと一緒に歩けたらいいのに」と。

 主人公は、お目当ての女性とデートする。
 だが、ささいなことで衝突し、フラれてしまう。

 
 そんな悲しい事があったからか、ついに二人は、電話越しに肉体関係に及ぶ。


 AIの知能が成長していくにつれ、主人公はAIの行動について行けなくなる。
 やがて、主人公は彼女から衝撃の告白を受けることになる。


 

『スレイヤーズ』のコンビが……

 本作の吹き替え版は、ヲタ必見の作品だ。
 
 AIサマンサの配役は、スカーレット・ヨハンソン。
 吹き替え声優は、林原めぐみさんだ。

 主人公のセオドア役は、ホアキン・フェニックス。
 吹き替えは松本保典さんである。

 そう、主人公とヒロインの二人は、アニメ版「スレイヤーズ!」のキャスティングなのである。

 
 ヲタや「スレイヤーズ」を知っている人なら、この作品は断然吹き替えで見るべきだ。
 二人の熱いベッドシーンは、ちょっと胸が熱くなる。


創作ポイント:シンギュラリティの果てに

 シンギュラリティ、いわゆる「意識を持ったAI」が登場する。


 SF作品にはよく出てくるテーマだ。


 他作品に漏れず、本作のAIも、主人公のうかがい知れないところで勝手に進化し、次第にAI自身にもコントロール不可になっていく。


 真価に対する好奇心が勝り、サマンサはコミュ力オバケと化す

 

 理想と現実というテーマはあれど、そこまでに捕らわれない映画。

 

 よくSFワナビは、「シンギュラリティ」とは、というテーマに圧倒される。
 それは、「シンギュラリティ」の誕生過程に興味が持って行かれるからだろう。

 

 本作は、その過程に触れつつ「シンギュラリティが起きた後の世界」のあり方を描いている。


 幻想的な音楽や映像によって、想像力をかき立てる。

 

 何より、本作にはしっかりとドラマが含まれている。

 

 それには、まず人間を作ることが必要なのではないだろうか。

 

 人間が描けているからこそ、進化したAIの形がいかようかが、思い描けるのでは。
 

まとめ

 シンギュラリティというSFガジェットにも、ドラマがある。
 
 
●余談

 本作に出てくるアラン・ワッツは、実在の人物だ。
「お金とか考えないで好きなことして生きようぜ! やがて達人になれるよ!」
 という説を強調している。