『ヘル・レイザー』(1987) 多くのマンガに影響を及ぼした、ドSホラー
|謎の小箱によって死んだ男
アラブ人ぽい人から謎の小箱を手に入れた男。
彼は儀式めいた行為の末、肉体を失った。
|結婚前に愛人を作っていた女
夫の兄の家に住むことになった夫婦。
しかし妻は、男の兄と密会していた。
その兄こそ、小箱を手にした男性だった。
密会を思い出し、悦に浸る妻。
家具を運んでいる最中に、夫がケガをしてしまう。
その血液を家に潜む何者かが吸い取った。
夜、妻が物音に気づいて部屋を訪れると、怪物に足首を掴まれる。
そいつは、密会相手だった。
弟の血で蘇った彼は、もっと血をよこせと弟の妻に要求してくる。
女は男を誘惑しては家に連れ込んで、殺人の狂気に及ぶ。
死体から血を抜き取って、どんどんと実体化していく男。
だが、夫にまで手をかけようとした。
妻は夫から彼を引き剥がそうとするが、夫と元交際相手で気持ちが揺らぐ。
|夫の連れ子がパズルを盗む
娘は、今は亡き母親が死ぬ夢にうなされていた。
あの妻には何かあると感じつつ、怖くて近づけないでいた。
しかし、不信感を募らせた彼女は、父を助けるために再婚相手を尾行。
そこで、血まみれの伯父を発見した。
逃げる際、伯父の所持していたパズルを盗み出す。
|色々なマンガの元ネタに
本作には、魔道士(セノバイト)という異世界人が登場する。
彼らの教義は「痛みは快感」である。
どいつもこいつも、皮膚に直接金属植え付けていて、ファッションが痛々しい。
『HUNTER×HUNTER』のイルミの正体を明かす前の姿は、魔道士の偉いさんである「ピンヘッド」がモデルだ。
魔道士の一人「バターボール」は、「ベルセルク」に登場する敵の神的存在「ゴッドハンド」のひとり、ユービックの元ネタとなっている。丸いグラサンで分かる。
盲目の魔道士「チャタラー」は、バイオハザード3の追跡者のモデルとなった。
|創作ポイント:監督の逸話
本作を撮影したクライヴ・バーカー監督は、脚本も手がけているどころか、本作の原作者である。
なんとバーカー監督は、自身の映画が駄作にならないよう予防線を張った。
自らが監督になることによって。
実は彼、かつて自分の原作映画がずっこけた過去を持つ。
もう二度と同じ目に遭いたくないと感じた彼は、自分で映画を撮ることを決意した。
この逸話の方が、まさに「痛みを伴う快感」とも言えるだろう。
|まとめ
執念が、名作を生む。
●余談
撮影には実際の家が使われ、特殊効果のスイッチを押させることで、映画監督のボブ・キーンから追加予算もGET。