サバイバルファミリー(2017) バッテリー補充液は飲める!
日本じゅうが停電
電気ガス水道などのライフラインが全て停止。
スーパーに行くにも、配送業者がこない。
そんな状態が数日、数週間も続いた。
エレベーターは動かず、冷蔵庫の中身も腐り始める。
主人公鈴木(小日向文世)の会社でも、上司が実家に帰るなど、トラブルが続出した。
情報を扱う会社のため、電気がないと何も仕事ができない。
鈴木一家は、妻(深津絵里)の親が住む鹿児島へ逃避行する。
しかし、やはり羽田は電気が回復しておらず、鹿児島行きどころか全便欠航していた。
ひとまず、「ライフラインが稼働している」とされる大阪を目指す。
北アメリカ大停電
『ウォーターボーイズ』や『スウィングガールズ』の矢口史靖監督のコメディ。
2003年に起きた、北アメリカ大停電からヒントを得たという。
緊迫したシーンでさえ、コントっぽくて切り口が面白い。
かと思えば、ただブタをさばくシーンが大げさに描かれる。
三谷幸喜とはまた違ったタイプのコメディだ。
オレの停電経験
オレも、台風21号の時、家が停電したことがある。
ウチの団地は水の管理も電気式だったので、住民は難儀していた。
電動じゃない水道を求めて、別の団地へ水をもらいに行くほどだった。
オレがこの映画を見たのは、ちょうど台風による停電が回復した直後だった。
「このチャンスを逃したら、もう見ないかも!」
という強い思いから、Netflixでちょうどやっていたので視聴した。
ポイント:数々の伏線
冒頭での、鈴木妻の田舎である九州から魚が送られてきた。しかし、当の妻は魚をさばけない。跳ねただけでビビる始末だ。
が、そんな妻も終盤に差し掛かると驚くべき成長を遂げる。
街は、水が2000円という高額で売られ、米と交換されるというスラム状態。
ひたすら西を目指し、自転車で無人の高速へ。
東名高速が人で溢れかえっている。みな、考えていることは同じなのだ。
だが、楽しんでいる夫婦もいた。時任三郎と藤原紀香の一家は、自転車で放浪の旅をしていた。
高速道路のど真ん中で、BBQをする夫婦。
アウトドア知識を活かして干物やドライフルーツを作って、この災害を満喫している。
一方、川の水を滅菌せずに飲んだ鈴木は、腹を下す。
無人となったスーパーで、娘(葵わかな)は猫缶を漁る。
自動車整備部品コーナーに立ち止まり、息子(泉澤祐希)は言い出す。
「バッテリー補充液は不純物が入っていない精製水なので、飲める!」
息子は精製水でノドを潤す。
しかし、飲んでみるがくっそまずい。
このように、伏線が見事に扱われている。
発煙筒、ベーコン、小日向文世のズラ。
これら、すべてが地味に伏線となって回収される展開も見物。
まとめ
ちりばめたちょっとした小道具を伏線として用いると、クスリと笑える。
余談
『Nikkei Style』の記事
「ウォーターボーイズ」の矢口監督が猫缶を食べた理由
によると、バッテリー補充液を飲むという行為は、実際に監督が試したアイデアだという。
ただし、殺菌していないということは、腐りやすいらしい。
なので、早く飲むことを推奨しているとか。
猫缶も食べたと、インタビューで話している。