あなたにとって最高の映画とは? 『クール・ランニング』(1993)
あなたにとって、生涯でもっとも好きな映画は何?
レオン?
メメント?
ソウ?
Mr.ブー?
OK。どれも名作だ。
オレは、つい最近までは「クール・ランニング」だった。
「シング・ストリート」がなければ、おそらくオレが生涯で最も好きな映画として、脳内で君臨していただろう。
四名のジャマイカ人が、ボブスレーでカルガリー冬季オリンピックを目指す、実話に基づいた話だ。
陸上選手の夢を絶たれた主人公は、白人の元メダリストから、ボブスレーで世界を取ろうと提案される。
だが、雪のないジャマイカでの訓練は熾烈を極めた。
冷蔵庫に入って寒さ対策をするコミカルなシーンも。
集まったメンバーの結束力も致命的で、陸上でのアクシデントの原因を作った人物までが加入していた。
ジミー・クリフ『I Can See Clearly Now』と言えば、キムタクのドラマ『エンジン』でもかかっていたが、こっちが先だ。
懐かしい『映画ダイジェスト』でこれの予告編を見たとき「メチャクチャ見たい!」と感じたのを覚えている。
ジミークリフの歌に遭わせて、バスタブでボブスレーの移動法を練習しているシーンが楽しげで。
実際に見たのは、確か金曜ロードショーだ。
事実に基づいた話なためか、案外真面目な映画だった。
失敗続きで、最初こそ冷やかされながらも、他国の選手も、彼らを応援するようになっていく。
フランス流をマネしていた主人公に仲間が抗議して、ジャマイカ流で攻める作戦に移行する場面で、ようやく本当にチームが結束する。
こういう「ありえないことにチャレンジする話」は大好きだ。
何も考えずに見られる。
●創作の役に立つ?
立つ。
事実、一部架空のストーリーだから。
実はこの映画、事実と大きく異なっている。
陸上選手ではなく、国防軍所属のアスリートなのだとか。
手押し車レーサーが選手の中にいたわけでもない。
4人のキャラ配置が絶妙で、それぞれが欠点を補う。
衝突を繰り返し、もうダメだと思わせるところで団結する。
一人で考えたアイデアでは、目標達成できず、全員納得したアイデアで、不可能を可能にしていく。
このシナリオは、楽しみながら参考に出来る。
●結論
死ぬもんか。
(本編参照)
●余談
ジャマイカ代表は、2018年の平昌冬季五輪にも出場した。
女子チームで「下町ボブスレー」が使われる予定だったが、監督の主張でラトビア製のソリを使うことになったらしい。
なんか複雑な事情があった模様。