絶・対・に・創作の役に立たない映画評のブログ

創作に役立つ、オススメの映画を紹介

朝ドラのヒロインが、下流の女に 『百円の恋』

 

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ひきこもりだった三〇代の女性が、ボクシングと出会って下流から脱却を図る話。


 主人公は、夜中にコンビニに出歩く程度のニート

 

 甥っ子とゲームするのが日課だ。

 

 ある日、離婚して出戻ってきた妹とケンカになり、主人公は家を追い出された。

 

 

 母からの餞別でアパートを借り、近所の百円ショップで働くことに。

 

 仕事の行き帰りで見かけるボクシングジム。

 

 そこで、黙々とトレーニングをしている男性を気にし始める。

 

 彼はコンビニの常連で、来店の度にバナナを買う男性だった。

 

 

 あるとき、彼は「バナナの金を払えない」と言い出す。

 

 代金の代わりに手渡ししてきたのは、引退試合のチケットだった。

 

 

 試合の結果は彼の負け。

 

 しかも、主人公は付き添いの同僚に乱暴されてしまう。

 犯人である同僚は、店の金を持ち出して逃走。

 

 

 そこから彼女は、本格的にボクシングを始める。


●この映画のポイント

 

 主演は、俳優の奥田瑛二さんを父に持つ女優、安藤サクラさん。

 

  彼女はこの映画で、第39回日本アカデミー賞、最優秀主演女優賞を受賞。
 
 2018年公開の映画万引き家族にも、リリー・フランキーさんとダブル主演。

 TVでは、チキンラーメンの開発者夫婦を描いたNHKドラマまんぷくのヒロインを演じている。

 
 今まさに旬の人、と言ってもいいだろう。

 
 そんな彼女が、汚れ役に挑戦しているのが本作である。

 

 しかも、体型があまりよくない。

 見た目的に、太り気味なのだ。顔もなんか丸い。
 

 

 ボクシングも、最初は素人以下の出来である。
 シャドーすらまともにこなせないほど。

 

 

 それが、人生で苦い経験を積む度に、軽快なフットワークになっていく。
 見るからに身体が引き締まり、パンチに腰が入り始める。

 

 店の中でも、ゴミ袋をサンドバッグ代わりにして打ち込みを繰り返す。

 

 顔つきまで変わり、死んでいた目にはギラついた眼光が覗くように。


●創作の役に立つ?

 

 十分ではないかと。

 

「上げて落とすシナリオ」は、最初こそ見ていて苦しい。
 しかし、波に乗っていくと次第に面白くなっていく。

 

 また、このキャラたちの価値観・倫理観は、少し変わっている。

 

 この映画には、妄想癖のある中年女性が出てくる。

 彼女は、主人公から廃棄弁当をもらって飢えを凌いでいる。

 

 だが、終盤で彼女は重大な犯罪を犯す。

 

 そのとき、主人公は意外なリアクションを見せるのだ。

 

 なんかスカッとするというか、「ざまぁ展開」というか。

 

 この部分だけは、海外映画のような価値観でキャラが動いている気がした。

 

 そういった倫理観のバランスなども、参考になるのでは?


●結論

 マイナー邦画は、出会い。
 
 マイナー邦画でも、良作はある。
 でも、自分で探そうとなると大変な労力になる。

 この手の作品は、本当に出会うべくして出会う。
 なので、無理に探す必要なし。

 
●余談
 
 安藤サクラさんは、本作でベッドシーンにも挑戦している。
 が、上記の理由で、そんなに興奮しない。


 あまり期待しないように。