ミッドナイト・ラン(1988) 変わり者を護送だけの簡単なお仕事のはずが
賞金稼ぎと変わり者会計士との旅
警官をクビになったウォルシュ(ロバート・デ・ニーロ:樋浦勉)は、保釈中に脱走した犯人を公判日までに捕まえる「賞金稼ぎ」の仕事をしている。
いつものように犯人を捕まえたウォルシュは、保釈金ローン会社から、
「マディーカス(チャールズ・グローディン:玄田哲章)会計士を逮捕しろ」
と依頼された。
その逃亡者は、ギャングの金1500万ドルを横領し、チャリティに寄付したという変わった経歴を持つ。
報酬は10万ドル。
彼の仕事は、五日後の裁判までに、マデューカスをロサンゼルスへ連れ戻すこと。
FBIになりすましたウォルシュは、NYでマディーカスを捕獲。
目的地は、飛行機で五時間の距離だ。あとは連れ帰るだけの簡単なお仕事。
しかし、マディーカスは飛行機恐怖症だった。
離陸直前に、二人は機長に追い出された。
夜行列車のトイレに閉じ込めても「閉所恐怖症で!」と、解放を望んでくる。
おまけに保釈金会社がウォルシュを信用せず、ライバルの賞金稼ぎを雇った。
ライバルを捕獲したまではよかったが、ウォルシュはクレジットを使用停止にされてしまう。
バスで目的地に到着すると、ギャングが待ち伏せしていた。
そこにFBIが到着し銃撃戦に。
FBIの車を奪って、二人は逃亡する。
別れた家族に会いに行くウォルシュは、元妻と口論になってしまう。
だが、娘と会ったことで彼は少しだけ心を開く。
妻からわずかな金と車を手に入れたが、ウォルシュは娘からの金までは受け取らなかった。
本物のクズにならない
ウォルシュは潜入捜査中にはめられ、警官をクビになった。
マフィアと繋がって腐敗した警官から、ワイロを受け取らなかったせいで。
マデューカスは真っ当に働いていたつもりが、ギャングの片棒を担がされていたことに絶望した。結果、横領に手を染めた。
彼らのしていることは、どちらも悪いことだ。
しかし、二人は信念において共通していた。
二人は表面上はクズだが、どこか似たもの同士で、絶対に本当のクズにはならない。
その信念があるからこそ、二人はケンカしつつも通じ合い、共に行くことができる。
ポイント:コメディとシリアスのバランスが見事
本作は、デニーロ作品でも最高と評価もある。
また、コメディ映画としても非常に完成度が高い。
ギャグとシリアスのバランスがちょうどいい。
シリアスの濃度が濃いと、見るのがしんどくなる。
かといってギャグ要素が強すぎると、味がクドくなる。
本作はこのバランスが絶妙なのだ。
警官との追いかけっこ、ヘリに追われる展開など、次にどうなるのかがまったく予想できず、見ていて魅了される。
だが、注意深く見ていると、上手い具合にプロットポイントがあり、ここで泣かせる、ここは笑わせる、ここはサスペンスと、作り込まれているのが分かる。
まとめ
プロットを練り込み、次の展開を予測させない。
余談
来世で会おう(次の更新はないとは言ってない