キアヌの師匠は千葉真一 『ジョン・ウィック』(2014)
|不本意な復活
妻を病気で失った主人公の元に、一匹の犬が送られた。
亡き妻からの最後の贈り物だった。
しかし、マフィアの息子が主人公宅に押し入った。彼の車を盗み、彼の飼い犬を殺す。
帰ってきた息子は、オヤジにボコられる。
仕事をして帰ってきた。父の指示に従っただけ。
理由が分からず、ボスの息子は不快感を示す。
ボスは言う
「なんてことをしたんだ! あいつは伝説の殺し屋だぞ!」
ボスの息子が痛めつけた男は、鉛筆だけで3人殺すほどの使い手だった。
かつて、ボスの優秀な部下だった彼は、女ができて組織を抜ける。
ボスが下した、難しいミッションをやり遂げて。
「彼がいるからこそ、我々は今の地位があるのだ」
|ガンフーアクション
キアヌがくっそ強い殺し屋の役で、痛快なアクションを魅せる。
この人、当時50前なのに。
家に入り込んだ刺客を瞬殺。
かつての同僚である護衛を言葉だけでいなす。
目にもとまらぬノンストップ射撃で、囲まれていても難なく相手を撃ち殺していく。それも、ものすごくテンポよく。
ガンフーアクションと呼ばれているらしい。
クラブハウスでの銃撃戦でさえ、客に傷一つ付けずに無数の護衛を始末する。
足を撃ち抜いて動けなくなったところをヘッドショット、というスタイルだ。
とはいえ、かつての同僚を見逃す慈悲の心も持っているという万能っぷり。
このシーンだけで、彼がいかに危険な相手かが分かる。
また、クラブハウスで戦うボスの腹心を、ダニエル・バーンハードが演じている。
『マトリックス』でエージェント役として、キアヌと共演している。
キアヌを治療する医者役の俳優も、『リローデッド』に登場する。
|創作ポイント:追い詰めつつ、追い詰められる
マフィアの息子も、ようやく相手のヤバさを知って身を隠す。
息子の居場所を探す過程で、主人公はマフィアのボスの財産を燃やし、組織のメンツを潰す。
もはや、主人公はマフィアとの全面抗争から逃げられなくなる。
ジョンは相手を追い詰めているのだが、自分自身も追い詰められているのだ。
決して無双構造ではないシナリオ展開が、抜群の緊張感を生み出している。
|まとめ
自分だけ安全権にいる主人公では、ユルくシナリオが進んでしまう。
本人も追い込まれている状況へ持っていく。
●余談
キアヌはアクションを、千葉真一の映画から学んだという。
本作を紹介する日本の番組で、キアヌは千葉本人と対面するというサプライズを受けた。
そのときに、非常に興奮しながら、千葉がいかに素晴らしいかを、興奮気味に力説したという。