カウチポテトアクションの決定版 『ズーランダー』(2001)
|モデル廃業
トップモデルだったデレク・ズーランダーは、ライバルに敗北した。
慰めてくれた友人たちも、ガソスタではしゃいだ拍子に爆死してしまう。
そのショックで、主人公はモデルを廃業する。
田舎の炭鉱で働くが、誰も彼の偉業を認めない。男の世界ではモデルの仕事など笑いの種にしかならない。
居場所をなくした主人公の元に、アーティストからオファーが来た。
だが、その男の目的は、彼を暗殺者に仕立て上げること。
マレーシアの首相は、児童労働禁止を訴えている。
彼がいる限り、ファッション業界は衰退してしまう。
その首相を暗殺するため、単細胞で洗脳しやすいモデルを殺し屋として訓練するのだ。
哀れ、ズーランダーは洗脳され、暗殺マシーンへと鍛えられてしまった。
デザーナーは、ファッションショーにマレーシア首相を呼び、殺害を計画する。
えっ、わけ分からん?
大丈夫。オレにも分からん!
|豪華俳優陣
マレーシア大統領の暗殺を企てるボスの子分が、ミラ・ジョボビッチ!
いきなりライバルとウォーキング対決を始める。
ジャッジするのは、デヴィッド・ボウイ本人!
「ズーランダーの身に危険が迫っている」
とタレコミしてきた人物が、デイヴィッド・ドゥカヴニー!
黒幕であるマネージャーのPCがiMacなのも、時代を感じさせる。
|創作ポイント
●荒唐無稽なキャラ設定
バカバカしい設定のまま、特にシリアスな展開もなく、話は大きく膨らんでいく。
いわば、不条理コメディである。
個人的に、この時代のアクションコメディが、一番見やすいと思う。
昨今のアクションでは、なにかと無駄なシリアスを吹き込みがちだ。
だが、本作はそういったストレスを極限まで削減している。
こんな映画は久しく見ていない。
それでいて、怖さはしっかりとエッセンスとして添えられている。
ミラ・ジョボビッチ扮する幹部だけが、最後まで話を引き締めてくれるのだ。
とはいえ、本作はバカコメディを徹底している。
このような映画を「カウチポテトアクション」という。
「ソファに寝そべって、ポテチ食いながら見る映画」なわけだ。
バカコメディに、シリアスはスパイス程度でいい。
説教臭い作品は、逆に「無駄シリアス!」と、煙たがられる。
●小道具の使い方
本作は、伏線の張り方が非常に上手い。
80年代の懐メロが、この映画ではガンガン掛かる。
だが、実はそれが「主人公を殺人マシーンに変えるスイッチとして機能する」
このように、小道具がただのモラトリアムで終わらない。
オバカなんだが、かなり計算された仕掛けも施されている。
|まとめ
アタマからっぽの方が、夢詰め込める。
●余談
一瞬だが、トランプ大統領まで出ている。