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『メメント』(2000) 時系列逆回しサスペンスの傑作

 

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いきなり射殺!

 冒頭、男性の射殺死体がポラロイドに写っている。
 主人公が手を振ると、段々と白くなっていく。
 実は逆再生で、主人公が男を撃ってシーンが終わる。

 
 主人公はとある場所へ、見知らぬ人物と同行。
 だが、懐にあった写真のメモ書きには
「この男を殺せ、こいつが妻を殺した犯人だ」
 と書かれている。

 主人公は、何のためらいもなく発砲。
 
 
メモだらけの身体

 妻を乱暴され殺害された主人公。
 犯人の一人に突き飛ばされ、外傷を受けたショックで、記憶に障害を持つ。
 
 主人公は、入れ墨を彫って体中にメモを取っている。絶対にメモをなくさないからだと。

 
時間が逆戻りに展開する映画


 クリストファー・ノーラン監督の傑作で有名。

 

 本作は時系列が逆に動いている。
 モノクロの回想シーンなどは順次系列のようだ。
 しかし、自分がどうして知り合いの女性ナタリー宅で寝ているのか、なぜ二部屋も借りているのか、思い出せない。

 女と一緒に寝ていたはずなのに、気がつくとモーテルで寝ている。
 クローゼットには、ふるぼっこにされた男が。
 メモによると「コイツのことはナタリーに聞け」と書かれていた。
 
  
 そして、メモの内容もちぐはぐだと、映画を見ている側は分かるようになる。


創作ポイント:禁断の手法

 時系列が逆に動いているこの映画。
 その真相は、驚くべき事実である。

 主人公の記憶が数分持たないのをいいことに、ナタリーが主人公の飲むビールにツバを入れるシーンがある。
 が、事件の真相はそんな些末なレベルではない。

 なぜ、冒頭で協力者が殺されなければならなかったのか。
 車のナンバーを刺青を掘った理由は?
「電話に出るな」という刺青を確認した後に、「電話に出ろ」とメッセージを渡されたのはどうして?

 すべての謎が判明したとき、きっとあなたも疑心暗鬼になるはずだ。
 記憶が人を司るんだ、と主人公はラストで語る。
 それがいかに儚く、空しく、信用できないものであるか。

 この手法を真似しようと思えば、相当のシナリオコントロール力が必要だ。
 自分だけが分かっているだけではいけない。
 相手にも覚えて置いてもらう必要がある。

 作る側だけでなく、見る側にもある一定の記憶力が必要だ。

 オレも結構、見返したので。

 

まとめ

 時系列いじりは、禁断の手法である。
 作り手より、読み手に苦労を強いるからだ。

 

 これを克服できれば、名作となるだろう。
 
●余談

 脚本家ブレイク・スナイダーは、この映画を酷評している。
 著書『SAVE THA CATの法則』にて、彼はこう語る。

「お前らはメメントみたいな映画を撮りたがっている。
 が、ボクはメメントの興行成績がどれだけ散々だったか知っているけどね!」