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小池一夫のキャラクター創造論 感想 悪役から書けって!?

個性的だが基本的

 2019年4月17日に亡くなられた、小池一夫先生によるキャラクター論。
 Kindleアンリミテッドでも読めるが、買うなら860円くらいで買える。オススメ本だ。

 先生は
「創作をする際は、物語の構成をする前にまずキャラクターを作る」
 ように指導していたという。
 
 小池氏のキャラクター作成法は「キャラに語りかける」など、実にシンプルだ。

 中にはこんな変わった作成法を取り入れる。

 

・悪役から作る

 

 物語の発端は、悪いことが起きることから始めると浮かんでくるぜ、とのこと。


 事件が起きれば主人公に目的ができると。

 

 また、敵味方の他に「ひっかき回す役」をもうけて、そいつに敵味方の人となりを喋らせればいいという。

 

マンガ原作というスタンス

 

 小池先生は、手塚治虫先生から
「マンガ家でもないのに漫画家を育てられる理由」
 を聞かれた。

 先生は「漫画家には色々なタイプがあって、絵を描かない視点で見ているからこそ、見えてくるものがある」と返答した。

 また、先生は


「漫画が描けない、かといって小説も書けないからマンガ原作でも目指すか」
 なんてスタンスでは、絶対にマンガ原作者にはなれない

 

という。

 

 編集さんは、本当にマンガ原作が必要なとき以外、絶対に原作者はつけない。
 マンガに原作をつけると、原稿料が割高になってしまうからだ。

 
 マンガ原作は、あくまでも材料に過ぎないと。
 通訳というポジションと呼べばいいかもしれない、と語る。

 

「主人公・謎・技・感動」の順で、構成を考える

 

 小池氏は、起承転結の順番を


「主人公・謎・技・感動」

 

 の順で表現していくと指導している。
 
・主人公
 キャラクターを起てる

 

・謎

 キャラに謎を追いかけさせる

 

・技

 とんぼ返り。

 

 絶対に勝てない相手に対する最後の切り札を考える。
 そのために、キャラクターを変化・成長させていくこと。

 

「とんぼ返り」はクライマックスだけではなく、キャラクターには常に必要。
 でないと飽きられる。

 

「とんぼ返り」の名称は、若山富三郎氏が小池氏の家を訪問したときのエピソードから。

 なんでも若山氏は「自分に拝一刀を演じさせろ」と直談判しにきたという。

 

 いや、萬屋錦之介さんでドラマ化しているし、と思っていると、


「俺が太ってるからアクションできねえと思ってるだろ!」

 と怒った若山富三郎氏は、その場でとんぼ返りを披露したらしい。


 その状況を見て、小池氏は若山氏への認識を改めたという。

 

 結果、若山氏は劇場版の拝一刀を演じることになった。

 敵役の柳生烈堂は、なんと萬屋錦之介さんが担当している!

 拝一刀を演じた物同士の共演である!

 

・感動
 キャラクターの行動によって、読者の心を動かす。
 キャラの成長によって、キャラがなくした物を取り戻す。
 あるいは、失ったモノの代わりを手に入れる。

 

まとめ


 このように、小池氏が遺した数々の創作論が、本書には詰まっている。
 作家を目指すならば、ぜひとも手に取ってもらいたい。