絶・対・に・創作の役に立たない映画評のブログ

創作に役立つ、オススメの映画を紹介

マネー・ピット(1986) グズグズしていると屋敷に(経済的な意味で)殺されてしまうぞ!

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トム・ハンクス 家を買う

 弁護士ウォルター(トム・ハンクス)は、ヴィオラ奏者のアンナ(シェリー・ロング)と同棲をしていた。
 アンナの元旦那で指揮者のマックスの部屋で、である。

 だが、マックスが帰ってくることに!
 二人は家を出て行かねばならなくなった。

 急なことだったので金を用意していない。

 知り合いのツテで、ようやく部屋を見つけた。
 
「20万ドルです」

「買いま……す!」

 ウォルターは借金までして、家を購入。

 だが、そこは欠陥住宅だった! 

 

金食い虫(マネー・ピット)

 
 階段が崩壊するところから、全ては始まる。

 玄関はカビていて、釘すら打てない。ドアホンもショートする。

 台所も風呂場も水が出ない。
 庭の小便小僧からチョロチョロと出てくる水を、生活用水にした。

 風呂場と寝室があるので、二人はわざわざハシゴを使って移動する。
 一階から水を組んで、バスタブへ放水する。

 ところが、床が抜けてバスタブが落下、粉々に。
『ブレイキング・バッド』で見たで、こんなシーン。
 
 台所を使っていたら配線が次々とショートした。
 ターキーは完成したが、電源関連は使い物にならなそう。

 欠陥住宅に住んでいては、一生お金に苦労する。
 だが、引っ越すお金もない。
 二人は意地で、この家に固執した。
 
 家を修理する金を工面するため、アンナは元旦那マックスの財産を処分する。
 指揮者と奏者なので、仕事上どうしても顔をつきあわせてしまう。
 マックスは、アンナとよりを戻そうとする。

 ようやく修理工と連絡が取れて、「二週間ほど、修繕には掛かる」という。

 だが、実際は四ヶ月経っても外装すら完成しなかった。

 

ポイント:直っていく家、壊れていく関係

 リチャード・ベンジャミンが監督を務め、スピルバークが総指揮をとる。
 欠陥住宅をテーマにした作品だが、悲壮感が漂わないコミカルな作りが売り。

 本作の深いポイントは、「家が修理されていくうちに、二人の関係が壊れていく」ところだ。

 バイカーギャングのような出で立ちの修理屋だが、見た目に反して仕事はきっちりとこなす。
 ベッドをのぞかれたりするが、キレイな水と丈夫な階段を提供してくれた。

 家を直してくれているのに、不注意でウォルターは鉄骨を破壊していき、ペンキまみれになって、最後には庭の噴水に突っ込む。 
 まるでピタゴラスイッチ的なコントだ。

 
 しかし、アンナがマックスと寝た寝ないで、二人はケンカになってしまう。

 せっかく家が元に戻ろうとするのに、ウォルターとアンナの距離は広がっていく。

 だが、意外な人物が二人の間を取り持つ。

 こういう面白い構成は、スピルバーグっぽくてユニークだ。
 

まとめ

 何かが直っていくのと、壊れていくのを同時に映像化し、対比させる。

余談

 この映画のラストで、ウォルターの父が、やり手ババアから家を買う。
 ババアはウォルターに家を売った人物なので、結末が分かっているのが面白い。

 まあ、父親の借金のせいでウォルターは苦労したので、ざまぁ展開とも取れる。