その手は、何も掴めなかったのか? 『シザーハンズ』(1990)
クリスマス、及び冬に見たい映画と言えば、ほぼ必ず出てくる映画の一つ。
「雪はどこから来るの?」
孫にせがまれて老婆が語る。
ハサミ状の両手を持って生まれた人造人間の話を。
ジザーハンズ・エドワードは、人間の手をもらう前に生みの親である発明家は死んでしまう。
エドワードは、死んだ発明家に触れることも出来ない。
ハサミに付着した血を見て、なんとも言えない表情になるエドワード。
古びた屋敷に一人住むことになるエドワードの家に、化粧品のセールスレディが。
彼女は動物の形に切り取られた庭の木を不思議がる。
エドワードの身の上話を聞いたセールスレディは、彼を連れ帰る。
彼女の家に住むこととなったエドワードは、庭の木を恐竜の形へ刈り取る。自分の住んでいた城でやっていたように。
特技を受け入れられたエドワードは、街の人気者に。
やがて、エドワードはセールスレディの娘と恋に落ちるが。
◇本作の特徴
いわゆる、大人のおとぎ話。
ハート形のクッキーを心臓にするとか、実にロマンチックである。ティム・バートンワールドというか。
パステルカラーの街や、類型的なキャラなど、非現実的な世界観ながら、シザーハンズの個性は死んでない。
エドワードが天使の彫刻を作り、雪を降らせるシーン。
その下で、ウィノナ・ライダーが踊るシーンが特にいい。
切ないラストシーンは必見。
昔、一回通しで見たのに、定期的にまた見たくなる作品。
ああダメだ。展開全部わかってるのにまた胸が苦しくなる。
やっぱいいわー、この映画。
◇創作に使えそう?
こういう「上げて落とすシナリオ」は、創作に大いに役立つ。
「特殊な生まれのヤツが、みんなから受け入れられる。けど、些細なことがきっかけで結局追い出される」
というパターン。
世界観、キャラなどの描写は、大げさだけど。
小説世界で例えると、星新一っぽい? そういうシュールさ。
見た目はゼリービーンズなのに、塩味みたいな感じの映画。
そういうのも全部ひっくるめてティム・バートンワールドである。
なので、そこだけは下手に真似しない方がいいかも。
ラストの対決シーンは、「ざまぁ」展開というか、「インガオホー」展開かと。
一番重荷が取れるシーンなのだが、後味は悪い感じ。
◇視聴のポイント
ティム・バートンなので、としか言いようのないシーン描写。
この監督の作品とテリー・ギリアム監督、キューブリック監督は、「そういうもん」として見た方が、自然と頭が理解してくれるかも。
センスを疑ったら負けなので。
◇結論
幻想的な世界観の構築は難しい。
キャラは参考になる。
小説よりは、マンガ向けっぽい。
●余談
ジョニデを一気にスターへとのし上げた作品でも有名かと。
この映画以降、ジョニデは本格的にウィノナ・ライダーと交際し、腕に
「ウィノナよ永遠に」
と入れ墨を彫る。
だが、破局。
その後、刺青の文面を
「アル中よ永遠に」
と書き換えたことも有名になったとか。
って、爆笑問題さんの番組で、デーブ・スペクターさんが言ってた。