何度見ても面白い穴落としのシーン 『300 〈スリーハンドレッド〉』(2006)
|スパルタとペルシア軍の戦争を描いた、コミック原作の物語。
ペルシアからの使者は、スパルタ国に服従を要求してきた。
スパルタは要求を拒絶。使者を殺した。
だが、神託が行われて戦ってはいけないと出てしまった。
それでもレオニダスは、たった300人だけ引き連れて、ペルシア軍と一戦交えることに。
この戦争は、「テルモピュライの戦い」として、後世に語り継がれる。
こうして、「300人対100万人」の戦いが始まった!
|展開が早い
圧巻なのは、ペルシアの使者をレオニダスが穴ぼこへ蹴り飛ばすシーンだ。
このシーンだけで、レオニダスがどのような人物かを物語っている。
ていうか、なんでスパルタには「使者を落とす穴」があるのかだが、細かいことはイイ!
加勢に来た軍勢から「兵隊少なっ」とディスられても「お前らは職人ばかりじゃないか。我々は全員兵隊だ!」と言い返す。
ペルシア軍の船が、嵐に飲まれる。
だが、減った軍勢は少しだけ。まだ大量に兵隊が残っている。
岩の間に陣取って、大軍の威力を削ぐ作戦に。
盾で攻撃を防ぎ、槍で大軍を突き刺しながらズンズンと突き進む。
|敵の大将がパンキッシュ
レオニダス王の前に、ペルシア軍の神輿が。
玉座に座っているのはペルシア王クセルクセスである。
停戦を交渉しに来たのだ。
奴隷の背中を階段代わりにして、レオニダスの前に降り立つ。
全身を鎖で飾り、まるでパンクロッカーみたいな出で立ちだ。
誇り高きスパルタの民はペルシア人に屈しない。
交渉は、物別れに終わる。
|創作ポイント:
●テンションの高さ
この映画は最初から最後までシナリオのテンションが高い。
熱量が凄まじいまま、最後まで展開する。
ラスト、ペルシア王がレオニダスに再度降伏を要求するシーンも、実に熱い。
盾を構えながら円陣を組んでいるだけの場面だ。
が、全員息づかいが荒い。
自分たちもその場にいるのではないかという、臨場感漂うシーンである。
だるいシーンが、ほぼ一切ないので、見終わったあとの脱力感がハンパない。
見るには、かなりの体力が必要だ。
●ブレない主人公
基本、本作の主人公は最後まで「スパルタ人の未来」を考えている。
よって、思考がブレない。
主人公の奥さんも気高い人である。
スパルタ本国でのシーンでは、彼女なりに必死で腐敗した内政を相手に戦っている。
|まとめ
シナリオの緩急は、考えない方がいい場合もある。
熱量の高い作品ならなおさら。
●余談
スパルタといえば、ゲーム『ゴッド・オブ・ウォー』も忘れてはならない。
『ゴッド・オブ・ウォーIII』には、「スパルタの軍勢」という魔法が存在する。
ファランクスがクレイトスさんを取り囲んで敵の攻撃から防ぎ、槍で周囲を攻撃するのだ。
この陣形の取り方は、この映画をモチーフにしているのではと思うのだが。