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梅田『喫茶 マヅラ』集客の秘訣は「タバコ臭」!?

 今回の3000文字テーマは、「3000文字フレグランス」だそうで。
 最初は「香りで3000文字も書けるかい!」と最初は思った。
 せやけど、 実にタイムリーなネタを取得していた。
「そういえば、最近匂いについては感じることがあった!」
 今回は、そんなネタを話そうと思う。
 
●喫茶マヅラがタバコ臭かった件
 
 梅田にある喫茶店『マヅラ』へ行ってきた。
 
 大阪駅前第1ビルに店を構える。
 戦後まもない1947年創業。九八歳のマスターがいることで有名だ。

 オレは小説講座で、ラノベ・児童文学・SFを書いているグループに所属している。
 メンバーから、「マヅラはすっごい昭和レトロで、タイムスリップしたみたいですよ」と話していたのを聞いて、興味を持った。
 
 大阪人の割に、オレは大阪のオモシロスポットをロクに知らない。
 地元の堺市で働いているため、大阪市、ましてや梅田なんて出歩かない。なので、大阪の情報に乏しいのだ。
 そのせいで、大阪の友人たちと話が合わないことも多かった。
 
 どれどれ、あまり遊びに行かない梅田に、レッツ繰り出そうではないか。

 その日は、小説講座グループ飲み会がある。仕事もない。
 昼食後に外出し、地下鉄に乗って梅田へ。

 グーグルマップを頼りに移動するものの、一向にたどり着けない。
 さすがダンジョン梅田。一筋縄ではいかないな。
 とはいえ案外一本道。曲がるところさえ正しければ到着するはず。
 外から行くルートが近いみたいだが、外は寒い。
 地下から直接行けるルートで向かう。
 ありゃ、道間違えたか?
 間違えてました。
 地下から直接は行けなかったみたいで、一つ上の階だった。

 おお、喫茶マヅラ発見!
 店の入り口には、テープレコーダーの残骸がお出迎え。使い古しのイスの上に、コードとかマイクとかが乱雑に撒かれたレコーダーが鎮座していらっしゃる。
 昭和レトロってレベルではなく、ロジャー・ムーア版007に出てくるバーみたいな感じの外観と内装。

 さっそく入店して、俺は咳き込んだ。
 
 うっわ、タバコ臭さっ!

 オレもヘビースモーカーだった。が、ぜんそくにかかって禁煙外来へ。以来一本も吸っていない。
 客の全員がタバコ吸ってる!
 狭い店内に、紫煙が充満しているのだ。
 
いくら元愛煙家だったとは言え、これは無理だわ。
 ホルモン焼き屋の煙なら耐えられる。
 だが、これはちょっときついかな。


 本当はもうちょっとまったりチョコパフェでも嗜もうかしら、と思っていた。
 適度にサッとメニューをいただいて退散しようと、脳内会議で決定した。
 それくらい臭いが酷かったのだ。今後の創作のために内装を吟味しようなんて想像すらできない。

 おっ、ちょうどいいのがあるじゃん。
「アイスクリームコーヒーをひとつ」

 オーダーが通った後、オレは暇を持て余す。
 実はこのお店、「読書すら禁止」にしていると知っていたからだ。

「梅田の高い敷地を借りているので、長居されると困る」
 というポリシーがあるという。
 PCでの作業もダメ。
 四人席に一人で座ることになったらチャージ料金を取ることも。
 以上は、店を探した際に仕入れた情報である。
 オレは知らなかったのだが、メニューの裏にちゃんと書いてあるらしい。
 
 早い。数分もしないうちに注文が来た。
 コーヒーの上に、丸アイスがのっている。まんまコーヒーフロートである。
 アイスとコーヒーを同時に楽しめるなんて最高じゃないか。アイスとコーヒーの甘さも丁度いい。優しい味だ。ザッツ昭和。

 こうして、オレは慌ただしく店を出る。
 名物マスターのご尊顔を拝むことも出来なかった。

 
 しかし、後にこれが創作の重大なヒントになる、と悟ったのである。


●ブログ、アプトプットの重要性を力説

 飲み会の会場である、天王寺へ。

 一次会は、アポロビルにあるチーズタッカルビ
 向こうの茶碗蒸しって焼くのね。
 その席で、オレは積極的に、「ブログやろう」「アウトプットしよう」と語りかけた。
 ブログは実際、頭のリフレッシュになる。儲けなど気にしなくても、行き詰まったときなどは気分転換に丁度いい。集客が目的なら、人が求めているものを追求することが出来る。それが創作にも繋がっていくと。
 
 幹事がバイク乗りで、ツーリング旅行によく行くのだという。
 キャンプもしようかな、と語っていた。
「キミはユーチューバーになろう」
 とオレは提案した。
 メットにGoProつけて、たき火して、空を見あげて、といった動画をひたすら垂れ流す。
「最高やん! そんな動画が、一万再生いったりするんや!」
 と、力説しておいた。
 
『ヒロシ』さんのチャンネルは、キャンプ特化型チャンネルだ。
 この体験を機に、氏は『働き方1.9 君も好きなことだけして生きていける』という著書までお出しになられた。
 
カンニング竹山』さんも、ご自身のチャンネルで、「キャンプ張ってるだけの動画」が異様な再生数をたたき出していることに、首をかしげていた。

 何がヒットのきっかけになるのか分からない。
 だからこそ行動しようぜ、とオレは思うのだ。
 創作に時間が掛かりすぎる、という意見もあった。
 それはそれで活動して、普段自分がやっていることを金にしたって、バチは当たらんと思うのよ。
 
 寒がりでバイクが苦手なオレは、よくニコ動でバイク車載動画を見て、旅行に行った気分に浸る。
 バイクに興味はないが、アニメ「ゆるキャン△」の影響でキャンプ動画を漁っている。

 また、そう考えているのはオレだけではないらしい。

「キャンプ行きたくないけど、たき火は見たい」
 って層をターゲットにしたらどない?

 と、オレは彼にアピールし続けた。

 で、20時になってタイムアップ。
 帰るには、まだ時間がある。
 二次会でサイゼリアに行こうとなり移動。
 しかし満席。

 どうしようかと悩んでいたところに、素晴らしい喫茶店を発見した。

『喫茶 スワン』

 オレが学生時代、天王寺で遊んでいた頃からある喫茶店だった。


●『ブログ飯』と昭和喫茶店に見る、集客のヒント

 そういえば、一度だけ利用したことがあるような。
 当時、遊んでいた子が女子ばっかりだったので、こういった喫茶店は敬遠されていたのを思い出す。

 そこも、タバコ臭かった。
 
 一階は全席喫煙席だった。おそらくパチンコ屋帰りの客だろう。
 確か、ここも分煙してなかった記憶が。

 禁煙席があるというので、分煙されている二階へ案内された。


 チョコバナナケーキとアイスコーヒーのセットを頼む。
 パフェのみかんなんて、缶詰まんま使っている。
 だが、このフリーダムさが嬉しい。


 そこでオレは、「待てよ?」と思考を巡らせた。

 
『ブログ飯』という書籍の文面を、不意に思い出したのだ。

 
「今の時代、コアなファンを確立することが大切だ。そのヒントは、昭和のスナックにある」
 といった風な言葉が、本書には書かれている。
 
 昭和風スナックは、コアなファンのクラスタによって支えられている。
 スナックはチェーンの飲み屋と違い、スキが多い。洗練されていない。そこに魅力があるのだ、と。
「頼りないママを、自分たちが支える」
 といった、一種のコミュニティが形成されているのだ。
 彼らは上等なもてなしを受けるためではなく、「ママに会いに」来ている。
 
 今は、ネットがそうなってきつつある、と、『ブログ飯』では書かれていた。

 酒が飲めないオレは、この論にいまいちピンとこなかった。
 だが、昭和喫茶をハシゴしていたオレには、思い当たる節が。

 実を言うと、オレはマヅラを見ても、そんなに珍しい店だとは思わなかった。
 家の近所に昭和レトロな店があったからである。
 今は潰れてしまったが、インベーダーゲームの筐体がテーブルになっている店だった。
そこはお店と言うより、寄り合い場所としての利用が多かったように思う。

 これだ。ブログ飯が言いたかったのはこれじゃないの? とオレは腑に落ちたのである。

 

 こういう雰囲気を残すことが大事なんだな、と。


「昭和だから」とかじゃねえんだよ。

 

 ファンが付くことが大事であると。
 

 

 喫煙席をいつまでも残しているのも、「固定客の定着」が目的だからだ。
 喫煙者というファンが支えているから、店は栄えているのだろう。

 
 彼らはコーヒーを楽しんでいると言うより、タバコを吸いに来ている。
 ここなら寒いベランダや外の灰皿で吸う思いをしなくていい。
 昭和風喫茶店とは、いわゆる「ホタルの止まり木」なのだ。
 

 このように、固定客を定着させれば、ブログでも小説でもうまくいくんじゃね? とオレはグループのメンバーに語った。

 それを教えてくれたのは、オレが昔吸っていた「タバコ」だったのである。

(3214文字)
 
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