IT/イット “それ”が見えたら、終わり。 (2017) 「騙されんぞ!」2017
1990年版のリメイク
雨の中、ジョージィは兄が作ってくれた船を排水溝に流してしまう。
手を伸ばしてみるが、届きそうにない。
だが、排水溝の中には不気味なピエロが。
名をペニーワイズさん(ビル・スカルスガルド/多田野曜平)という。
ジョージィはペニーワイズさんから逃れようとするが、話術の巧みさから信用して、彼を助けようと手を伸ばしてしまう。
それが、ジョージィの最期だった。
本当は怖いスタンド・バイ・ミー
弟の死から数年後、ビル(ジェイデン・リーバハー/田谷隼)は未だに、弟ジョージィの行方を追っていた。
どこかで助けを求めているはずだ。
彼は、とある下水道に目星を付ける。
そこへ、いじめっ子のヘンリー一行が邪魔に入る。
こういった構図も、同原作作家の『スタンド・バイ・ミー』らしさが窺えた。
しかし、ヘンリーの仲間がペニーワイズに食われる。
このあたりは、やはりホラー映画だ。
その後、いじめられっ子のベバリーも弟探しの仲間に加わった。
ポイント:ペニーワイズさんによる、巧みな精神ブラクラ
スティーヴン・キング原作なためか、ペニーワイズさんの妨害はかなり効果的だ。
相手の神経を逆なでするために生まれたのではないか、と思わせるほどである。
弟の身体を借りて、兄を堕落させようとするシーンがある。
このときのジョージィの演技が見事なのだ。
兄に向かって、ジョージィがニタァ、と笑う。明らかに本物ではないのだが、見た目が可愛らしくて無垢な少年であるため、不気味さが際立つ。
また、いじめっ子ヘンリーが、人として超えてはならない一線を越えるシーンも、気味が悪い。
ヘンリーの父は警察官だ。なにかと高圧的な態度を取る父に、ヘンリーは逆らえない。
その日も、ヘンリーは父に外出を咎められた。
ソファに座っている父親が見ているTV番組が、なぜか児童向けなのだ。
画面では、うたのおねえさんが唐突に
「ためらう必要はないわ。父親を殺すのよ♡」
おねえさんを囲む子どもたちも、一斉に「殺せ」コールを連呼する。
まるで異種格闘技戦の試合かのようだ。
おねえさんも鬼の形相になっている。
ヘンリーは画面越しに洗脳されて、とうとうタブーを犯すのだ。
まとめ
人を狂気に染めたいなら、相手の精神に訴えかける。
余談
ニコニコ動画には、
「ペニーワイズさんがサメ映画をススメる」
動画というのが存在する。
そちらは、1990年版のペニーワイズさんだ。
「本編の台詞をデタラメに翻訳した字幕を流す」という、いわゆる
「嘘字幕シリーズ」
というモノである。
サメ映画は面白いぞと主張するペニーワイズさんを、
「騙されんぞ!」
と拒絶するジョージィが印象的な動画だ。
2019年には
「IT THE END」
が公開決定している。
はたして、どのような嘘字幕が作られるのか。