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夜明け告げるルーのうた(2017) 歌によって溶けていく誤解

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バンドやろうぜ!


 
 とあるさびれた漁港で、主人公カイは無気力な生活を送っていた。
 音楽をしているときだけ自分を解放し、自身の打ち込み音楽の動画をアップする。


 カイの活動に目を付けた遊歩と国夫の二人で、バンドを組むこととなる。

 

 国夫は親に活動を知られるわけには行かず、人魚伝承のある島まで船を飛ばした。

 そこは、かつて人魚伝説を売りにして廃園したレジャーランドの跡地だった。

 カイは、下手くそなバンドに愛想を尽かす。が、演奏中に奇妙な歌声を聞く。
 バンドは帰り道に密漁団と遭遇した。が、謎の存在によって事なきを得る。

 謎の影は人魚で、名をルーと呼んだ。

歌うたいのバラッド

 カイは父親の隠し持っていたテープから、斉藤和義の曲を引っ張り出してコピーする。
 父親もバンド活動をしていた過去があったのだ。
 慣れない曲の耳コピに悪戦苦闘するメンバー。

 そこにルーが現れた。

 人魚に精神を触発され、やたら演奏がうまくなったバンドメンバー。


 おそらく人魚(セイレーン)の伝承にちなんでいるのかと思われる。

 

 カイはルーと共に、夜の漁港を散歩する。

 

 両親の離婚や、この漁港を好いていないことなど、カイはルーに自分の身上を打ち明けた。

 

 

 海でなくなった人を弔うお祭りで演奏をすることとなったバンドメンバー。
 なんと、そこにルーが。セイレーン特有の現象により、村中の人が踊り出す状態に。
 目撃者が多数現れ、ルーはすっかり街の人気者となった。

 

 街の権力者は言う「人魚で村おこしをしよう」と。
 一度失敗した過ちを、もう一度繰り返そうというのだ。
 

ポイント:誤解

 本作には、様々な誤解が生じる。

 自分の演奏がショボいことを知りつつ、遊歩はルーの人気に嫉妬してしまう。
 周りに不満を漏らしつつ、カイも結局、自分のコトしか考えていなかった。

 村おこしをメチャメチャにしたことで、ルーの見方が180度変わってしまった。
 みんなが、ルーのことを「怖い人魚」だと決めつけ、捕まえようと動き出す。

 ルーの父親すら巻き込み、漁港は危機にさらされる。
 だが、自分の殻に閉じこもってしまったカイに、漁港のSOSは届かない。

 漁港のパニックに気づき、カイはようやくルーの危機を知る。

 カイは彼なりに、もっとも大切な形でルーを救おうとする。

 人々は、ルーたち人魚によって救われる。
 その過程で、様々な誤解が解けていく。

 遅すぎたのか、それだけの年月が必要だったのかは分からないが。

まとめ


 
 それぞれに事情があり、事実は寄り添っている。
 だが、知るには時間がかかる。

余談

 ルーの声優をつとめた谷花音さんは、『君の名は。』で三葉の妹役を演じている。